ハイアットリージェンシーワイキキのカルチャーアドバイザー、クウイポ・クムカヒさん

ハワイ音楽の愛好家なら、クウイポ・クムカヒさんの名を知らない人はいないでしょう。プロのミュージシャンとして半世紀近くのキャリアを持ち、これまで7枚のアルバムを発表。ハワイのグラミー賞ともいわれる「ナー・ホク・ハノハノ賞」の常連であり、過去には最優秀女性ボーカリスト賞、最優秀ハワイ語アルバム賞など、主だった賞を総なめにした印象があります。

さらには同賞を主宰するハワイ・アカデミー・オブ・レコーディングアーツ理事長をはじめ、数々の音楽&文化団体の代表も務めてきたクウイポさん。ミュージシャンとしての活動にとどまらず、ハワイの音楽産業の大御所、業界の牽引役の一人として、誰もが多大な敬意を向けるビッグな存在が、クウイポさんという女性です。

そのクウイポさんのもう一つの顔が、ハイアット リージェンシー ワイキキビーチ リゾート&スパのカルチャーディレクターというもの(正式な肩書はハワイアンカルチャー&コミュニティ関連ディレクター)。ハワイでは大変な著名人であるクウイポさんが、平日はハイアット リージェンシー ワイキキのカルチャーセンター「ホオケラ ハワイアンヘリテージ&カルチャーセンター」に出勤。世界からの旅行者を迎え入れていると聞いて、やや驚いた人もいるのではないでしょうか? かくいう私も、その一人でした。

【上:ホテルのダイヤモンドヘッドタワー2階にあるホオケラ ハワイアンカルチャー&コミュニティセンター。ホオケラとは「秀でる、向上する」との意味】

「突然ここで私に会って、驚く人がいるだろうって? いえいえ、ここに来る人のほとんどは私のことを知らないわ(笑)。でも、それでいい。私は自分の顔を売るためにここにいるのではないの。ハワイの文化をシェアするためにいるのですから」

…私の不躾な質問に、愉快そうに答えてくれたクウイポさん。このコラムでは、そんなカルチャーディレクターとしてのクウイポさんに焦点を当て、その役割や目指すものをご紹介します。

まずはクウイポさんの基礎知識から。クウイポさんはハワイ島出身。母方の一族は島東部のヒロ郊外に約3万坪の土地を持ち、敷地には川が流れ、なんと滝まであるそう。その海辺の広大な土地で、クウイポさんは敷地に実るガヴァやマンゴーをおやつ代わりに幸福な子供時代を過ごしたそうです。

「その土地は母の曾祖父が、1850年にカメハメハ3世から賜った土地なの。その時、3世から受け取った権利証も残っています。詳細は知らないのですが、きっと先祖はカメハメハ3世の下で仕事をしていたのね」

父親はやはりハワイ島コナの生まれで、ハワイ語を流暢に話すハワイアン。家はコアウッドで造られた19世紀の美しい調度品にあふれ、クウイポさんは一族の所有地で、ハワイアンの伝統的な価値観とともに成長しました。

© ハワイ州観光局