公立校の体罰被害生徒97人 教員25人を処分、指導 長崎県教委

長崎県内公立学校の体罰などの実態調査

 長崎県教委は13日、2023年度に県内公立小中高、特別支援学校で体罰・不適切な指導を受けた児童生徒は97人と、前年度より32人増加したと発表した。1人の教員が22人の生徒の頭を軽くたたき、訓告等の処分を受けた体罰があったことなどが影響した。負傷したのは9人で鼓膜損傷や打撲など。処分・指導を受けた教員は25人(前年度比9人減)、件数も25件で、うち2人は過去に体罰で校長指導を受けていた。
 児童生徒の内訳は、小学生69人、中学生23人、高校生5人。特別支援学校はなかった。把握のきっかけは教職員の申告が7件。児童生徒・保護者の訴えは22件で、うち4件は教職員も申告した。
 内容は▽「素手でたたく」8件▽「棒などでたたく」1件▽「投げる・転倒させる」2件▽「たたく・蹴る」3件▽不適切な発言や指導、肩を揺さぶるなどの「その他」11件。授業中の体罰が15件を占めた。
 懲戒処分を受けた教員は1人(同3人減)。「ひき殺されて来い」などと計9人に不適切な発言をして苦痛を与えた。生徒の1人は発言を一因に転校。教員は減給10分の1(1カ月)の処分となった。
 ほかの24人は訓告等(文書訓告・口頭訓告・厳重注意)だった。
 県教委は、教職員に「体罰によらない指導」についての具体策を人事評価表に記入させ、校長面談で成果を確認するなど、体罰根絶に向けた対策を実施。体罰を行った教員を対象に再発防止のための長期間の研修も設けている。
 岩坪正裕高校教育課人事管理監は「体罰等があってはならないということを徹底しているが、どうしても感情的になるようなこともあり、体罰を行っているケースが多いのではないか」とした。

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