栄養素の動きを可視化 システム開発へ 福島国際研究教育機構

 福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)は、植物内部の糖分やミネラルなどの栄養素の動きを高精度に可視化するシステムを構築する。栄養素の輸送メカニズムを解明し、農産物の生産性向上や高付加価値化、東京電力福島第1原発事故の被災地の営農再開につなげる。量子科学技術研究開発機構(QST)など10機関と連携して研究を開始した。2029(令和11)年度までのシステム確立を目指す。

 エフレイによると、元素が出す放射線を感知して動態を確認する「RIイメージング技術」を農業分野に応用する。暗所での撮影や植物の組織を破壊することなく土壌から根に吸収された栄養素や光合成で作られた栄養素の動きなどを見ることができる。動態を確認するシステムが確立されれば、糖分の高い果物や亜鉛不足を解消できる野菜の開発など、農産物の高付加価値化が可能になる。農業の担い手不足に対応するために収量の高い農産物を開発することも想定している。

 研究は代表機関のQSTをはじめ東京大や筑波大、東北大など国内の8大学、植物の栽培条件に関する研究などを手掛けている民間企業・プランテックス(本社・東京都中央区)が共同事業体(コンソーシアム)を組織しエフレイの委託事業として実施する。

 コンソーシアムを構成する関係機関は13日、東京都で研究事業のキックオフミーティングを開いた。

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