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京都市は職員が身に付ける名札の表記をフルネームから姓だけに変更した。公務員に対する動画の無断撮影やSNS(交流サイト)上での個人攻撃といった迷惑行為が社会問題化しているため、職員のプライバシーを守る狙いがある。
市は職員服務規程で名札の着用を義務付け、要綱で大きさ(縦5.5センチ以上、横7センチ以上)や記載内容を定めている。要綱では職名と姓の記載を求めているが、これまではフルネームを表記する職員が多かった。
市コンプライアンス推進室によると、具体的な迷惑行為の事例は確認していないが、岡山市が昨年10月から姓のみに切り替えるなど全国で見直しの動きが進んでいる。同市では、職員が窓口で応対した市民から「SNSで名前をさらす」と脅されたことが見直しのきっかけになったという。
全日本自治団体労働組合(自治労)が2020年に組合員約1万4200人を対象に実態調査を行ったところ、過去3年間に住民から迷惑行為や悪質なクレームを受けた人は46%に上った。暴言や説教、長時間のクレームや居座りなどが多かった。
京都市は人事異動の時期に合わせ、3月26日に各局区にフルネーム表記をやめるよう通知した。ある40代の女性職員は「下の名前をちゃん付けで呼ばれて不快な思いをしたことがあるので、姓だけというのは助かる」と話した。
同室は「責任ある市民応対という観点から名札は必要だが、姓だけでも職員の識別はでき、問題はないと判断した」としている。