大谷翔平作、単純に見える「5・7・5」の裏にある真意 共作した伊藤園が明かすキーワードの意味

ドジャースの大谷翔平【写真:ロイター】

グローバルアンバサダー契約を締結

飲料大手メーカーの伊藤園が主力ブランド「お~いお茶」において、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手とグローバルアンバサダー契約を発表したのは、ゴールデンウィークに突入して間もない4月30日のこと。同日に国内外の新聞60紙に掲載された全面広告の絶妙な“仕掛け”はネット上でも注目の的だった。大谷の姿はなく、1本のペットボトルに記されたまさかの俳句。伊藤園広報部がTHE ANSWER編集部に語った契約の舞台裏。全4回の3回目は、伊藤園が「17文字」に託したものは何だったのかを聞いた。

青空が広がるスタジアムに置かれた「お~いお茶」のペットボトル。しかし「商品の顔」ともいえるロゴを背にした形で、緑のラベルがなければ何の広告であるか分からない。「拝啓 大谷翔平様」で始まる伊藤園からのメッセージが添えられているとはいえ、そこに大谷の姿もない。しかしよく見ると、正面を向いた形のラベルの背に書かれたのは「いつの日も 僕のそばには お茶がある」という俳句が。「カリフォルニア州ロサンゼルス・29歳・大谷翔平」と添えられた味わい深い仕上がりだ。

いくつかあった候補の中で、大谷と伊藤園が協力して作り上げたという一句。「これを広告だけで終わらせるのではなく、大谷選手にこれからアンバサダーとして活躍していただくうえで、この一句は『キーワード』になっていきます。昔からお茶を飲んでいた、お茶が身近な存在、相棒であるということをフックにして、この俳句を絡めながら活動して行く予定です」と伊藤園広報部も今後の展開を明かす。

飲料に限らず、食品全般を扱うメーカーにとって「味」や「匂い」を広告で表すことは容易ではない。「美味しさを伝えるために『美味しいです』と書いても伝わりにくい。むしろ、消費者の方々に思い描いていただくしかないというのがあります。そういうことも含め、今回はいろいろな仕掛けをさせていただきました。もちろん、これらの根底にあるのは我々が大谷選手を『応援したい』という思いです」と大谷との契約に至った本質に触れている。

日本人にとって、当たり前のように身近にあるお茶。グローバル展開を考える伊藤園として、まずは「グローバルアンバサダー」としての大谷に寄せる期待は大きい。

「現在、『お~いお茶』は世界の40の国と地域で販売されていますが、これはまだ先進国の一部だけというところです。世界を見ると紅茶なども含め、お茶に砂糖を入れて飲む習慣があるところが多い。無糖の日本茶を世界に打ち出すという部分では、ようやくスタートラインに立ったところです。大谷選手にはまず、お茶を広めるというところから始めていただけると嬉しいですね」

トップアスリートとして、自分の体と向き合い、健康に細心の注意を図る大谷。その一助となり、お茶の世界的アピールが進むことを願っている。

THE ANSWER編集部

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