相談数7年連続全国2位 栃木いのちの電話、23年まとめ 前年比微減の2万1527件

 自殺防止のための電話相談室「栃木いのちの電話」(青木勲(あおきいさお)理事長)が2023年に受信した相談件数は前年比272件減の2万1527件だったことが13日までに、同事務局のまとめで分かった。自殺をほのめかす「自殺傾向」は174件減の2828件で全体の13.1%を占めた。本県の相談件数は全国49のいのちの電話の中で2番目に多い。一方、相談員不足で電話を取りきれていない状況があるという。事務局は「1人でも多くの相談に乗れるよう、改善策を検討していく」としている。

 本県の電話相談件数は、17年の2万6107件をピークに減少傾向にある一方、過去10年間は2万件超の状態が続いている。

 相談者は男性1万280人、女性1万1066人、性的少数者を含むその他181人。年代は50代が6063件で最も多く、40代4542件、60代3990件と続いた。50代は職場や家庭での責任が増え、人口も多いことが要因とみられる。

 内容別では生き方や孤独からの寂しさなど「人生」に関するものが4246件で最多。大橋房子(おおはしふさこ)事務局長は「コロナ禍で人付き合いが変わり、相談相手がいないという人も多い。日常が戻っていない人もいる」と指摘する。次いで精神疾患に関する相談が4034件だった。

 「自殺傾向」の相談は174件減の2828件。月別では5~7月が多く、季節の変わり目で不調が表れたり、新しい生活環境で悩みが生まれたりしたことが影響したとみられる。

 一方、インターネット相談は4件減の102件。30代の相談者が多く、半数近くが自殺をほのめかすメッセージを送っていた。

 栃木いのちの電話は宇都宮と足利の2カ所で相談を受けており、件数は7年連続で全国2位だった。2人で対応するなど、相談を受信しやすい体制づくりが奏功しているという。しかし、相談員数は18年の242人から年々減少し、23年は211人。大橋事務局長は「精いっぱい相談を受けているが、人員不足で電話を取りきれない状況がある」と明かす。今後改善を検討するという。

 電話相談は宇都宮028.643.7830(24時間対応)、足利分室0284.44.0783(午後3~9時)。

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