大阪特捜検事「逮捕待つべき」 強引捜査か、横領無罪の国賠訴訟

大阪地検が入る合同庁舎=2019年

 大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社プレサンスコーポレーション(大阪市)の山岸忍元社長(61)が違法な取り調べがあったとして7億7千万円の国家賠償を求めた訴訟で、特捜検事だった末沢岳志・東京国税不服審判所国税審判官(46)が「逮捕は待ったほうがいい」と述べていたことが14日、分かった。国側が検事の陳述書を大阪地裁に提出した。

 内部で注意喚起があったにもかかわらず、山岸氏は逮捕された。弁護団は「問題があったことは明らかだ」と主張。特捜部による強引な捜査の一端が明らかになった。

 陳述書によると、検事は2019年12月、山岸氏と横領を共謀したとされた学校法人明浄学院(大阪府熊取町)の理事の取り調べを担当した。理事が取り調べの途中で供述調書の撤回を申し出たことから、検事は供述の信用性をより慎重に検討すべきだと考え、主任検事の蜂須賀三紀雄・神戸地検刑事部長(51)に逮捕の見送りを進言した。

 理事の調書の訂正も進言したが、訂正されず山岸氏は逮捕された。

記者会見するプレサンスコーポレーションの山岸忍元社長の代理人弁護士ら=14日正午、大阪司法記者クラブ

© 一般社団法人共同通信社