【フォーミュラE 第9/10戦 ベルリンE-Prix レポート】 ジャガーのニック・キャシディが今季2勝目!第10戦は地元ポルシェのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタが今季初優勝

2024年5月11日と12日にテンペルホーフ空港跡地で行われたベルリンE-Prixは、第9戦と第10戦のダブルヘッダーとなった。今シーズンもシリーズを折り返し、チャンピオン争いも熾烈を極める中、今大会もタイトルコンテンダーであるジャガーとポルシェが優勝を分け合う形となった。

第9戦はキャシディが大逆転で今季2勝目を挙げる!

レース前に行われた予選では、苦戦が続いていたエドアルド・モルタラ(MAHINDRA RACING)が今季初のポールポジションを獲得。ポールポジション獲得によりモルタラは今季初となるポイントを獲得している。

フォーミュラEの開催地の中ではコース幅が広いベルリンE-Prix。序盤から順位が大きく動く、

2番手と3番手にはストフェル・バンドーン(DS PENSKE)、ジャン-エリック・ベルニュ(DS PENSKE)のDSペンスキー勢が続いた。

ランキング首位のパスカル・ウェーレイン(TAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM)は6番グリッド。ランキング2位のニック・キャシディ(JAGUAR TCS RACING)が9番手、前戦モナコを制したミッチ・エバンス(JAGUAR TCS RACING)は10番手からのスタートとなった。

40周の決勝レースは予想することが難しい展開に。スタートはポールシッターのモルタラがトップのままターン1を通過し、早くも3周目にアタックモードを使用し5位までポジションを下げた。

エネルギーマネジメントのため、トップでレースを引っ張ることを避けたモルタラに代わりウェーレインがトップに浮上。しかし、ウェーレイン、DS勢も続々とアタックモードを使い、トップが常に入れ替わることになる。

11周目、セバスチャン・ブエミの代役参戦となったジョエル・エリクソン(ENVISION RACING)が右リヤのサスペンションを痛めコース上にストップ。車両撤去のため、セーフティカーが出動した。

17周目にレースが再開されると、各車2度目のアタックモードを消化していく。コース幅が広いコースレイアウトも相まって、順位が頻繁に入れ替わるレースとなった。

30周目にはマキシミリアン・ギュンター(MASERATI MSG RACING)がクラッシュし、2度目のセーフティカー出動となる。

この時点でエバンスが首位に立つも、唯一アタックモードを消化できておらず、2番手につけるウェーレインや3番手のオリバー・ローランド(NISSAN FORMULA E TEAM)が虎視眈々とトップの座を狙う。

34周目にレース再開。今回は2度のセーフティカーが出動し、隊列の整理にも時間がかかったこともあり、アディショナルラップは6周に設定された。

レース終盤に首位に立ったのはベルニュ。そのベルニュを追ったのは、ウェーレインでもローランドでもなく、一時最後尾にいたキャシディだった。

キャシディは中盤まで21番手を走っていたが、エネルギーをマネジメントしており、2度目のSCで順位をあげると、さらに前方で起こったクラッシュを切り抜け、終盤にきて2位に浮上していたのだ。

2位に上がったキャシディは温存していたエネルギーを使い、ベルニュを攻略しトップに浮上。さらにリードを築いていき、大逆転でのトップチェッカーを受けた。

終始上位でレースを進めていたベルニュは悔しい2位、3位にはローランドが入っている。4位にはウェーレインを押さえ込んだエバンスが入った。前戦モナコにつづき、今大会でもジャガーのチームプレイが光り、キャシディがウェーレインに9ポイント差をつけランキング首位に浮上している。

今季2勝目を挙げ、ランキングトップに浮上したニック・キャシディ。

第10戦はダ・コスタが優勝し、ポルシェが母国GP制覇

連勝を狙うキャシディがスタートでトップに立つ。

日曜日に行われた第10戦は前日より2周、そしてアタックモードも計4分と短く設定された。

第10戦では昨年の王者であるジェイク・デニス(ANDRETTI FORMULA E)がポールポジションを獲得。2番グリオッドには前日大逆転優勝を演じたキャシディ、3番グリッドにアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(TAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM)、4番グリッドにはエバンスが続く。

38周のレースがスタート。ポールシッターのデニスは先頭でのレースを嫌い、アクセルを踏み込まない。代わって2番グリッドスタートのキャシディが先頭に躍り出た。

そんなキャシディも3周目にアタックモードに入ると後続もそれに続く。先頭に立ったウェーレインが翌4周目にアタックモードを使用するも、キャシディの前で合流し、トップの座をキープしてみせた。

各車、早々にアタックモードを消化していく中、ポルシェ勢とジャガー勢が先頭を引っ張る形に。そんな中、第9戦に続き、ギュンターが11周目にコース上でストップし、セーフティカーが出動した。

15周目にレース再開するとワンツー体制の構築していたポルシェ勢に対し、キャシディがアタックしトップに浮上。しかし、その後ダ・コスタが首位の座を取り返した。

後方では、クラッシュが多発し、25周目にはノーマン・ナトー(ANDRETTI FORMULA E)がサッシャ・フェネストラズ(NISSAN FORMULA E TEAM)を巻き込む形でクラッシュしたことにより、再びセーフティカー出動となった。

29周目にレースはリスタート。ダ・コスタが首位を走り続けるも、セーフティカーでギャップがなくなったタイミングを、ジャガー勢が攻め立てていく。

アディショナルラップが3周と発表される中、トップのエバンスが2度目のアタックモードを消化。これでダ・コスタがトップ、ローランド、エバンス、キャシディの並びとなる。

2位争いが激しくなる中、トップのダ・コスタはギャップを1秒以上築くことに成功。そのまま逃げ切り、今季初優勝を挙げた。第6戦ではトップチェッカーを受けながらも、レース後の車検で失格となっていただけに、借りを返す勝利となった。

2位は最終盤でローランドを攻略し4戦連続表彰台獲得となったキャシディ。チャンピオンシップにおいて2位のウェーレインとの差を16ポイントまで拡げてみせた。

3位にはキャシディ同様、後方からの追い上げを見せたローランド。こちらも連続表彰台を獲得してみせ、ランキング3位に浮上している。

ジャガーとの一騎討ちを制し、チームの地元で復活の優勝を果たしたダ・コスタ。

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