電撃ネットワーク南部虎弾さんが古い木造アパートで暮らし続けたワケ “大物芸人”が抱き続けた妻への愛

24年1月に亡くなった南部虎弾さん(C)日刊ゲンダイ

今年1月に脳卒中により72歳で急逝した「電撃ネットワーク」のリーダー・南部虎弾さん。全2回で『ザ・ノンフィクション「芸に命をかけた人 ~南部虎弾と妻の約束~ 』(14時~/フジテレビ※関東ローカル)が放送されている。12日放送の前編では、糖尿病を患って腎機能が低下していた南部さんに18歳年下の妻・由紀さんがドナーとなって臓器移植する「夫婦間生体腎移植」の様子も描かれて大反響を呼んだ。

もう一つ、視聴者が衝撃を受けたのは、芸人として大成功した南部さんが、由紀さんと晩年まで都内の木造アパートでつつましい生活を送っていたことだろう。楽屋兼自宅の小さなアパートには、ショーで使う衣装や小道具が所狭しと置かれ、由紀さんが窮屈そうな台所で作ってくれた減塩の味噌汁を夫婦が小さな机で仲睦まじげに飲む様子が印象的だった。

「電撃ネットワーク」といえば、電動工具から出る火花でタバコに火をつけたり、頭に缶ビールをくっつけてコップに注いだり、口の中でクラッカーを爆発させる過激パフォーマンスで知られている。海外からもその評価は高く、「TOKYO SHOCK BOYS」の名前で世界各地でもパフォーマンスを行ってきた。テレビに引っ張りだこだった全盛期に南部さんの月収は1000万円を超えることもあったというが、番組でそんな雰囲気は微塵も感じられなかった。由紀さんは南部さんがショーに打ち込むかたわら、パートをしながら家計を支え続けていたという。

番組では、南部さんが「貯金もせず、芸にすべてをつぎこんでしまうため」と説明されていたが、旧知の知人によると、あの小さなアパートで長年暮らしていたのはいくつか理由があるという。

■壊れた携帯電話にテープを貼って使い続け…

「体を張った電撃ネットワークの芸が“過激過ぎる”と見なされ、テレビに出られなくなったことで収入が細っていったという見方もあります。番組では南部さんが質素を好んであそこで暮らし続けていたかのように見えましたが、質素な暮らしだけが理由ではなかったような気がします。もちろん、ぜいたくなどはしない人でしたが、決してケチではありませんでした。カネに困った芸人仲間に頼まれたら、何も言わず十万円くらいポンと振り込んであげるような気前が良くて優しい人でした。そんな南部さんがあのアパートにこだわっていた最大の理由は、単純に引っ越すのがイヤだったんじゃないですかね。南部さんは電話魔なのに携帯電話のプランをかけ放題に変えるのも億劫がって、平気で毎月3万~4万円払っていた時期がありました。その一方、壊れた携帯をセロハンテープで応急処置して使い続けたり…とにかく芸以外のほとんどの事に無頓着な性格なんです。大量の衣装や小道具をヨソに移すのも面倒くさかったんだと思いますよ。ショーに使うウサギやスッポンをあのアパートで飼っていた時期もありましたからね。由紀さんとの楽しい思い出で溢れたあの場所からどうしても離れたくなかったこともあるのでしょう」

ショーで糞を食べるためのウサギ、キスするためのスッポンを、あの部屋の片隅で大切に育てていたという南部さん。19日放送の「ザ・ノンフィクション」後編でも、“ショーに人生を捧げたパフォーマー”の未公開の事実がまた明かされることになりそうだ。

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