草なぎ剛はなぜ時代劇に挑戦したのか?熱い思い明かす

時代劇は日本の文化だと語る草なぎ剛。

俳優の草なぎ剛が14日、新宿区の赤城神社で行われた主演映画『碁盤斬り』大ヒット祈願神社イベントで、時代劇にかける思いを熱く語った。同イベントには、清原果耶白石和彌監督も登場した。

古典落語をモチーフとした本作は、冤罪(えんざい)事件によって藩を追われ、亡き妻の忘れ形見である一人娘・お絹と共に貧乏長屋で暮らす浪人・柳田格之進(草なぎ)が、父として、さらに武士としての誇りをかけた復讐(ふくしゅう)に挑むさまを描く時代劇。本作の公開に先駆けて、芸能の神様を祀っていることで名高い神楽坂の赤城神社にて、大ヒット祈願が行われた。和装姿の草なぎ、清原は本殿でのご祈祷後、報道陣の取材に応じた。

祈祷を終えた草なぎは、「今日は本当に天気がすばらしくて。この作品を応援してくれているのかなと思うくらいにすごくさわやかな気持ちです。この作品に込めた思いが、皆さんに優しく伝わるようにというか、みんなが応援してくれているんだなという気持ちになって、幸せな気持ちになれました」と晴れやかな表情。続く清原も「今日は草なぎさんと監督と一緒にご祈祷に来られて、純粋にうれしい気持ちと、もうすぐ映画が公開されるんだなという緊張もありました」とコメント。さらに白石監督も「公開直前はヒリヒリするんですけど、この赤城神社がすごくきれいで、背筋が伸びるような気持ちもありました。草なぎさんがおっしゃったように、天気が良くて、晴れ晴れとした気持ちになりました」と付け加えた。

また「祈祷ではあまりよくばったことをお祈りしたら神様に怒られそうなので、よろしくお願いしますとだけご祈祷していました」という草なぎは、「ただどこかで、たくさんの方が来てくれたらという下心が出てしまいました。エンタメとしても、娯楽作品としても、たくさんの人が楽しめる作品なので、本当にたくさんの方に伝わればいいなと思ってご祈祷しました」と笑顔。それを聞いた清原が「わたしもあまり変わらないですが、たくさんの方に観ていただきたいというのと、この映画の初日まで、誰も体調を崩しませんようにとお祈りしました」と語ると、草なぎも「優しいね。大人だね、僕の娘は」と感心した様子を見せた。

あらためて着物に身を包んでみて、「背筋がピッと伸びますね。清原さんの輝かしいグルーヴが出てますよ。いいですよね」とご機嫌な様子の草なぎだったが、ふと気付いたように「なんで監督だけ着物を着てないんですか?」と質問。それには白石監督も「失敗しました。着物は持ってないので、今度仕入れておきます」と苦笑いしつつも、「でも映画の中では袴だったんですけど、着流しの剛さんもカッコいいですね」と呼びかけると、草なぎも「そうですね。映画の中ではけっこうビリビリになっていくので」とコメント。さらに白石監督が「ふたりとも貧しい長屋暮らしなので、きれいな着物を着るとまた雰囲気が違いますよね」と補足すると、草なぎも「そうですね。ギャップ萌えというやつですね」と返してみせて、会場を笑わせた。

また今回共演した清原について、「素敵な方だなと思っていたんですけど、会うと思った以上にすてきで、僕の娘でいいのかなと思ってしまったというか。会ってみて優しい娘だと思いました」としみじみ語ると、「ありがとうございます。やった!」と喜んでみせた清原。草なぎに対しては「わたしもいつか草なぎさんとご一緒できたらと思っていたので、今回こうやって親子でご一緒させていただけたことが本当にうれしかったです。でも第一印象は寡黙な方なのかなと勝手に想像していたんですけど、実際に会うとユーモアにあふれた、寛大なお父さんでした」と共演した感想を語った。

そして時代劇への思いについて、草なぎは「光栄なことに早くもイタリアで賞をいただいて。海外の方にも評価していただいてうれしいのですが、その一方で時代劇から足が遠のいている人や、若い子が時代劇離れしているということも耳に挟んだりします」と切り出し、「でもやはり時代劇って日本の文化でもあると思うんです。だから時代劇に出演できるのは僕自身も光栄ですし、やはりこういう日本がつくる時代劇を絶やしたくない。今回やってみて、京都の職人の方と、東京のスタッフと、昔のいいものと今のいいものを融合させて。今でしかつくれない時代劇をつくれたと思う。だから日本のみならず、海外の方にも観てもらいたい」とその思いをせつせつと語った。そしてさらに「(キャストには)清原さんみたいな若い世代の方もいますし、僕よりも先輩の名優もいるので、時代劇が得意ではないなという方にも観ていただきたいという気持ちです」と呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

映画『碁盤斬り』は5月17日より全国公開

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