イタリア人にはない 日本人の「不思議でおもしろい」ところ 魅力的に感じた理由とは

イタリア人のジャンルカ・プルソーニさん。訪日経験は3回【写真提供:ジャンルカ・プルソーニ】

外国人がイメージする日本人は、優しい、おとなしいなどと聞きます。それでは、実際に日本へ来たことがある人の目にはどんなふうに映るのでしょうか。これまで3度の訪日経験があるイタリア人男性は、日本人に対して「おもしろい」という印象を持ったそうです。イタリア人にはない、日本人の魅力とは。

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日本のアニメに触れて育ったイタリア人のジャンルカさん

イタリア人のジャンルカ・プルソーニさんが、初めて日本へ来たのは2018年でした。このときの訪日で東京、京都、神戸、淡路島などをめぐり、すっかり日本に魅了されたジャンルカさん。これまで3度、日本へ来たことがあります。

実は、ジャンルカさんはもともと、日本に興味があったそうです。きっかけは、イタリアで放送されていた日本のアニメでした。

「僕は幼いときから、日本のアニメを観て育ったんだ。今はアニメについて研究していて、それを執筆するのが仕事になっているよ。日本のアニメについても書いたことがあるんだ」

ジャンルカさんは、ペルージャ大学で人類学を学んだのち、ミラノの出版社で働いた経験があります。その後も、フィンランドやアメリカで人類学などを学び、映画やメディアなどについても研究してきました。

そのため、1度目の訪日で訪れた京都では「京都国際マンガミュージアム」にも足を運んだそうです。そこには、日本だけでなく、世界中の漫画に関する資料が多数所蔵されています。施設内の壁には、有名漫画家のサインやイラストも。漫画ファンにはたまらない観光スポットのひとつです。

閉校した小学校を改修して生まれ変わった美術館ですが、“学び舎”の雰囲気はそのまま。「とても美しかった。天気が悪い日に行ったんだけど、とても気分良く過ごすことができた。京都に住むことになったら、毎日でも行きたいと思ったよ」と、ジャンルカさんもすっかり魅了されたようです。

日本人は「親切で人間的なところが素敵」

さまざまな場所へ足を運び、そこでは日本人との交流もありました。関係を深めるなかで、日本人とイタリア人との違いに気づいたといいます。

「日本人には適切な慎みがある。イタリア人のようなオープンさはないけれど、親切で人間的なところが素敵だよね。友達になれば関係もずっと続くし、大事にしてくれる」

また、大きく違うところはもうひとつあるそう。

「イタリア人とは違う、日本独特の気質は『空気を読む』というところかな。ときには、それが邪魔をすることもあるけれど、それが日本人の良いところでもあるし、不思議でおもしろいと思ったよ」

日本人の性格を知り、少しずつ距離を縮めていったというジャンルカさん。その後、再び日本を訪れた際には、日本人の新たな魅力を発見したといいます。

「宮城県の松島へ行ったときに、“奇妙な人形”を見たんだ。友達に聞いたら、天気が良くなることを願う飾りのようなものだと教えられた。シンプルで、とても美しかったよ」

ジャンルカさんが見た、てるてる坊主【写真提供:ジャンルカ・プルソーニ】

ジャンルカさんが見たのは、てるてる坊主。日本では、雨の日が続いたり、翌日に晴れてほしいと思ったりしたときに、てるてる坊主を作って晴天を祈る風習があります。

イタリアにそのような文化はなく、「日本人は器用で、おもしろいものを作るよね。そういう風習を大切にするところも魅力的だと思ったよ」とジャンルカさん。

多くの日本人が、一度はてるてる坊主を作るおまじないをしたことがあるでしょう。そう考えると、とても不思議ですよね。ジャンルカさんの目には、てるてる坊主に祈りを捧げる日本人がとても新鮮に映ったようです。

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