ワタミ/事業の主軸を海外に、台湾直営・フィリピンFCなど出店加速

ワタミは5月13日、同社の事業全体の主軸を海外に移す方針を明かした。

<渡辺CFO>

海外事業を担う渡辺将也CFOは「ワタミグループとしては、今後の円安見込んでいることから外貨の獲得に注力する。台湾を中心に出店を進めていく。M&Aによって外食以外の事業も強化し、海外展開を加速させる礎となる1年にしたい」と述べた。

まず、直営店を構える台湾では、「本格和食/和牛を世界へ」をテーマとして、和食の「手作厨房 和民」を中心に出店を強める。同業態の3月実績は1店舗あたり月商790万円、利益率9.3%。和牛焼肉「かみむら牧場」の3月実績は月商2132万円、利益率13.0%。2業態とも収益モデルとして確立できたという。

現在、計5店舗体制だが、10店舗、20店舗と着実に出店を進め、将来、計300店舗規模まで拡大させたい考えだ。

フィリピンでは、フランチャイズ出店を加速させる。24年度は3店舗オープンする予定。渡辺CFOは「フィリピンは海外のフランチャイズ成功例だ。今年中に21店舗目をオープンする。現地の事業者とは早く50店舗まで増やそうという話をしている」と語る。

シンガポールでは、外食向けシーフード・肉類の輸入や保管、供給を行うLeader Food社を子会社化。現地の飲食スーパーとのつながりを持つ同社の仕入れ力と、ワタミの商品開発力を合わせることで、外食と小売事業で競争力を高めていく。渡辺CFOは「日本の商品を輸出する拠点にしたい」と話す。

アメリカでは、人口流入の激しいネバダ州で20年以上すしの加工・卸売事業を手掛けるSonny Sushi社の事業を取得。ワタミの日本食のノウハウや商品開発力を生かし、ラインアップの充実化と販路拡大を狙う。将来的には、外食事業の展開拠点にする。

中国の深セン、上海にも再出店する。「鳥メロ」業態で6月に深セン、8月に上海で新店舗をオープン。両地域では、コロナ禍を機に撤退していたが、人口の多さからまだまだポテンシャルがあると判断して再挑戦するという。

マカオでは、1月23日に「饗和民」のフランチャイズ1号店をオープン。マカオで統合型リゾートを運営するギャラクシーグループと契約したもの。同業態3月の売上実績は3872万円。現在、2号店の出店も決まっている。

<渡辺会長>

海外展開について、渡辺美樹 会長 兼 社長は「これからのワタミの主軸を海外に置く。インフレに対して備えるため、海外事業を積極的に進めている。円安がさらに進むなら、海外事業を強化するか日本のものを輸出するしかない。国内の農業事業の商品も輸出できるように、しっかりと世界に届けていきたい」と語った。

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