シャープ堺工場の液晶パネル生産停止 半導体事業に移行も不安視

5月14日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、シャープ堺工場の液晶パネル生産停止について意見を交わした。

シャープの目の付けどころ、どこ行っちゃったんですかね?

シャープはテレビ向けの液晶パネル工場の稼働を停止する。

2023年3月期に連結最終損益の赤字が2000億円を超える主因となっていた。中国勢の増産でテレビ向けのパネル価格は直近の高値の半分に下落。液晶事業の人材をソニーグループの半導体工場に出向させることも検討する。

子会社の堺ディスプレイプロダクト(堺市)の工場を9月末までに停止。稼働率が低く、採算を割り込む状況が続いている。

(寺島アナ)「“液晶といえばシャープ”というイメージがありましたけど、堺工場で生産停止なんですね」

「今日の日経新聞さんの一面で、日本の産業のあり方が液晶から半導体にシフトする象徴として大きく取り上げられています。しかしTSMCやラピダスなど最先端の半導体に政府は力を入れていますけど、それって本当に上手くいくんですかね?液晶から半導体ってよくある転換で分かりやすすぎちゃって、本当に大丈夫ですか?」

田中氏は政府の産業政策の姿勢を疑問視する。

(田中氏)「政府が支えている産業政策は“贅沢品への支出”って言われてるんですよ。当たるか分からないけど皆がやってるからやってみました、っていう高級ブランドを着る感じでやってるんです。だから本当に成功するか分からないですけど、成功すればいいですよねー」

液晶パネル大手のジャパンディスプレイが5月13日発表した2024年3月期決算は、443億円の純損失だった。2014年3月の株式上場後、赤字は10年連続。

電機大手3社の事業を統合し「日の丸液晶」と呼ばれながらも、企業統治の不全や海外勢との競争によって低迷し、株価は10年で40分の1以下まで下落した。

ジャパンディスプレイは2012年4月、東芝、ソニー、日立製作所の中小型液晶事業を統合して発足した。当時、スマートフォン向けなどの中小型液晶では世界一のシェアを保持していた。米アップルとの取引を広げ、2014年3月に東証1部に上場した。

(寺島アナ)「各分野でディスプレイ、液晶から有機ELへと交代していますが、液晶そのものはどうなっていくんでしょう?」

(田中氏)「液晶そのものが無くなるってことは考えられないですけど、やはり中国勢の追い上げは、ただ単に企業を統合しただけでは太刀打ちできなかった、ということでしょうね」

(寺島アナ)「中小型液晶に代わる柱と見込む“有機EL”は、次世代技術を採用して国内で2024年末に量産を開始する予定ですが、将来の主力と見込む中国の量産工場の計画も色々あるようなので……」

(田中氏)「ただ単に市場シェアを奪い合う戦いになると、どうしても価格競争になるしかないわけです。そうなると中国勢に負けてしまうので、事業転換をして有能な人材を半導体部門に割り当てる、と。ただその半導体は今ブームなので、言っちゃ悪いですけど薄っぺらい誰でも思いつく感じできたなー、って思っちゃいます。コマーシャルに影響された世代からすると、シャープのCMって尖ってましたからね」

(寺島アナ)「“目の付けどころが”なんてのもありましたね」

(田中氏)「目の付けどころ、どこ行っちゃったんですかね?大丈夫ですか?」

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