ソニーGの今期、5.5%の営業増益見通し PS5販売は1800万台程度

Ritsuko Shimizu

[東京 14日 ロイター] - ソニーグループは14日、2025年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比5.5%増の1兆2750億円になりそうだと発表した。携帯端末向け画像センサーの販売増やゲーム、音楽分野の増益が寄与する。

ただ、IBESがまとめたアナリスト23人のコンセンサス予想1兆3350億円に届かなかった。

半導体事業(イメージング&センシング・ソリューション)の営業利益は2700億円で、前期の1935億円から大幅に増加する見通し。携帯端末向けセンサー(モバイル用イメージセンサー事業)は3年連続で10%以上の売り上げ成長をみている。ゲーム事業も3100億円(前期実績2902億円)と伸長を見込んでいる。

家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」の販売台数は1800万台程度と、前期実績から減少する。松岡直美執行役員は、製品サイクルの後半を迎えPS5の新規販売台数は徐々に減少していくとしながらも「継続的に増加するアクティブユーザー数とユーザーエンゲージメントを着実に維持・拡大し、事業コストのコントロールも強化することで、PSプラットフォームの収益は今後も着実に伸ばしていける」と述べた。

想定為替レートは1ドル=145円前後(前期実績は144.4円)、1ユーロ=157円前後(同156.6円)。

為替の動向について、十時裕樹社長は「急激で大きな変動は、事業をマネジメントする立場としてあまり好ましくない」とした。円安が進んだことで海外M&A(合併・買収)に影響を及ぼしているか問われ「海外M&Aはリターンも外貨なので、やりにくいという考えはない」と述べた。

同社と米プライベートエクイティ(PE)企業アポロ・グローバル・マネジメントが共同で買収提案しているとされる米メディア大手パラマウント・グローバルについては「特定のディールへのコメントは控えたい」とするにとどめた。

ただ、十時社長は、ゲーム・音楽・映画でIP(知的財産)を軸にしたシナジーを出すことがソニーGの強みでもあり戦略の中核だとし、「(映画会社の)ソニー・ピクチャーズエンタテインメントはハブ。この領域で優良な機会があれば、適正な価値と投資リターンが期待できることを前提に検討するのは自然な行為」と述べた。一方で、今後3カ年の戦略投資は1.8兆円と打ち出しており「特定のセグメントに極端に偏ることなく、戦略投資と機動的な自己株取得を行うことが基本的な考え方」とも指摘した。

9月30日時点の株主に1対5の株式分割を実施する。併せて、3000万株(発行済み株式の2.46%)、総額2500億円を上限とする自社株取得枠を設定することも決議した。取得期間は15日から2025年5月14日。

24年3月期の連結営業利益は前期比7.2%減の1兆2088億円で、会社計画の1兆1800億円をやや上振れて着地した。金融分野の大幅減益と半導体事業分野での減価償却費増加が響き、減益となった。PS5の販売台数は2080万台で、2月に発表した目標値2100万台とほぼ同水準だった。

<中計は利益成長重視>

同日発表した27年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画は「グループ全体のさらなる成長に向けて、グループ全体のシナジーを最大化させる。利益ベースでの成長をより重視する」(十時社長)といい、営業利益年平均成長率(除く金融)は10%以上を目標として掲げた。3年間累計の営業利益率(除く金融)は10%以上とした。

機動的な自己株取得も含む3カ年の戦略投資(金融を除く)は1.8兆円実施。22年3月期から24年3月期までの前中計の実績は1.3兆円だった。また、イメージセンサー向け投資が減少するため、設備投資は1.7兆円(前中計実績は1.9兆円)を計画している。

前中計期間中は投資を先行させてきたが、今中計では、営業キャッシュフローが増加する一方で投資は大きく伸びないことから、株主還元も厚くする。十時社長は「26年度(27年3月期)には、総還元性向を40%程度とする」と述べた。

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