木造長屋の仮設入居開始 輪島・南志見 住民「顔見知り多く安心」 100戸27棟、県産材ふんだんに

石川県内初の木造長屋型の仮設住宅で隣接する部屋に入居することになった坂口さん(左)と余越さん=14日午前10時40分、輪島市里町

 能登半島地震を受け、輪島市里町の南志見(なじみ)多目的グラウンドで石川県が整備した「木造長屋型」の応急仮設住宅の入居が14日、始まった。県産材をふんだんに使った棟が軒を連ねており、4カ月近くふるさとを離れて避難生活を余儀なくされた住民は「周りは顔見知りばかり。安心やね」と笑顔を見せた。

 地震の被災者向けに整備された木造長屋型の仮設住宅は100戸で全27棟。外壁や床材に県産の木材を使い、周辺の景観に配慮し、黒瓦屋根を用いた。1DK54戸、2DK42戸、3K4戸で、木造の仮設住宅は県内で初めてとなる。

 グラウンド近くの南志見公民館で仮設住宅の鍵を受け取った坂口美栄子さん(85)=同市白米(しろよね)町=は、前日に2次避難先だった魚津市内のビジネスホテルを退去した。近所に住み、金沢市に避難していた余越きぬえさん(69)が隣に住むこととなり、「住んでいた家が壊れたのは寂しいけど、これからも近所の皆さんと助け合っていきたい」と話した。

 同市名舟町の槌谷(つちや)敬二さん(84)は6月、野々市市内の「みなし仮設住宅」から南志見の仮設住宅に引っ越す予定。「こっちの仮設は知っとる人ばかりやから、うれしいね」と話した。

 金沢に集団避難していた7人も午後、マイクロバスで仮設住宅に到着する。

© 株式会社北國新聞社