金大教授らJAXA事業採択 魚のウロコ、衛星に 宇宙治療薬開発へ

 金大環日本海域環境研究センターの鈴木信雄教授らの共同研究グループによるプロジェクトが14日までに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の公募事業に採択された。魚のウロコを人工衛星に搭載し、宇宙空間で誘発される骨密度低下、放射線障害などを予防する治療薬の開発を目指す。

 ヒトは宇宙空間で、地上より小さい重力、宇宙放射線、極端に短い明暗周期の影響を受け、体内の水分が上半身に片寄り、骨のカルシウムが減少するといった障害が起きる。

 これらはホルモンの1種「メラトニン」分泌の減少が原因の一つとされる。鈴木教授らは2010年、国際宇宙ステーションで金魚のウロコを用いて、メラトニンをもとにした新薬の実験を行い、カルシウム減少を抑える良好な結果を得ている。

 今回採択された事業は、メラトニンが宇宙放射線や短い明暗周期による障害の予防・治療への効果を検証するために行う。無人の人工衛星に、日本のベンチャー企業IDDKが開発した顕微観察技術を搭載し、地上からの操作で新薬を実験する。試料にはゼブラフィッシュのウロコを用いる。

 共同研究グループは鈴木教授ほか、金大理工研究域生命理工学系の小林功准教授、文教大の平山順教授、立教大の服部淳彦特任教授、丸山雄介助教、IDDKで構成する。

 鈴木教授は「宇宙への人類進出、居住での有効な予防・治療薬になる可能性は高い」と話した。

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