犬がする『野性味溢れる行動』4つ やりすぎてしまう問題行動をクールダウンさせる方法まで

犬がやりすぎてしまう問題行動

飼い主さんや第三者から見て問題だと思うような犬の行動を問題行動と言います。しかし犬には、誰かに意地悪をしてやろうとか、誰かを出し抜いてまで自分が飼い主さんから褒められようというような気持ちは持っていないと考えられています。

実際、飼い主さんにとっての問題行動も、その行動自体は犬にとってごく自然な行動であることが多いのです。反対に、飼い主さんが愛犬の行動を適切にコントロールできていないせいで、愛犬に問題が生じていると言っても過言ではないでしょう。

犬の問題行動を分類すると、攻撃行動、不安や恐怖に起因した行動、常同行動、その他の問題行動の4つに分けられます。今回は、これらの問題行動について、犬にどのような行動が見られるのか、また解決するためにはどのような対処法があるのかについてご紹介します。

犬の「野性味溢れる行動」とは

犬がしてしまう問題行動にはいくつか種類があります。今回は、その種類ごとに解説します。

1.攻撃行動

攻撃行動は、どんな動物でも備わっている本能から行う、ごく正常な行動のひとつです。ただし、その行動が正常だと言えるかどうかは、発現する頻度や攻撃の程度によると言えるでしょう。

例えば、愛犬にブラッシングや歯磨き、散歩から帰宅した後の足拭きなどの日常的なケアをしようとする度に、唸ったり歯をむき出したり、時には本気で咬み付いてきたりした場合、それは問題行動とみなされるでしょう。

愛犬に頻繁にこのような行動が見られる場合は、下記の観点で状況を整理した上で、解決策を探したり専門家に相談することをおすすめします。

<攻撃の対象>

  • 同居家族や飼い主さんを含む親しい人や動物か
  • 見知らぬ他人や動物か
  • 生き物以外のモノか など

<攻撃を誘発する刺激>

  • 恐怖心から攻撃行動に転じたのか
  • 相反する2つの感情の板挟み(葛藤)から攻撃行動に転じたのか
  • 自分の所有物を守るための攻撃か
  • 自分の餌や縄張りを守るための攻撃か など

2.不安や恐怖に起因した行動

臆病な犬は、ちょっとしたことにも敏感で、すぐに不安や恐怖を覚えます。それが攻撃行動に転じる場合もありますが、中には別の行動が出るケースもあります。

例えば、逃げ出してしまう、パニックを起こして全く言うことを聞かなくなる、呼吸が浅くて速くなる(パンティング)、よだれを垂らす、震えだす、その場で嘔吐や排泄をしてしまうなどで、これらも問題行動と言えるでしょう。

恐怖の原因となる刺激の多くが、花火や工事の音、雷鳴といった、突然発生する地を轟かすような低くて大きなです。また飼い主さんの姿が見えなくなると、不安に襲われて家の中のさまざまなものを破壊するといった行動を見せる犬も多いです。

3.常同行動

動物園で飼育されているクマやトラなどの野生動物がよく見せる、同じ場所を1日中行ったり来たりするような、意味のない行動を延々と繰り返すことを常同行動といいます。飼い主さんの不在時間が多く、1日中何もやることがないような状況などにいる犬にも見られます。

犬の場合に多いのが、自分のしっぽを追ってぐるぐると回り続ける、前足などの同じ部位を延々と舐め続けるといった行動です。しっぽを咬んで出血したり、同じ部位を舐め続けて毛が抜け、皮膚炎を起こしたりと、自傷行為につながるため注意が必要です。

4.その他の問題行動

他にも、犬の問題行動とされる行動には、下記のような行動があります。

<排泄関連>

  • なかなかトイレを覚えない
  • マーキングを行う
  • 失禁(トイレ以外の場所で粗相)する など

<吠え関連>

  • 玄関のチャイムが鳴ると吠え続ける
  • 見知らぬ犬や人とすれ違うときに吠え続ける
  • 昼夜逆転して一晩中吠え続ける など

<拾い食い関連>

  • 拾い食いをやめない
  • 自分の糞や石、プラスチック、繊維などの食物以外のものを食べてしまう(異嗜)

<落ち着きがない(過活動)>

  • すぐに飛びついてくる
  • マウンティングをする
  • 散歩時に飼い主さんの言う事を聞かず、リードを引っ張って好きな方に行こうとする

犬がする「野性味溢れる行動」を解決するための対処法

では、前章で書いたような犬の問題行動に対し、どのような対処法で対策すべきなのでしょうか。

社会化の重要性

社会化期と言われる生後3〜12週齢頃の子犬は、あまり警戒心や恐怖心を抱かずに、とても旺盛な好奇心が特徴的な時期です。この時期に人間社会の中で経験するであろうさまざまな刺激を、良い感情とともに経験させることで、おおらかな性格の犬に育ちます。

さまざまな刺激とは、音やニオイ、さまざまな場所や人や動物、日常で使用する生活用品、自転車や車とのすれ違いなど、犬の五感を刺激するあらゆる経験です。

おおらかな犬は、過度に怖がることがなく、日常的なケアも嫌がらずに受けられるようになるでしょう。また、すぐにパニックを起こして飼い主さんの言う事を聞けなくなるということも少なくなるでしょう。

愛犬を落ち着かせられるコマンドを作る

「オスワリ」「マテ」「フセ」など、簡単な動作で良いので、愛犬が必ずできるコマンドを1つ作り、どんな状況でも従えるようにしておきましょう。そうすることで、興奮し始めた愛犬を、落ち着かせられるようになります。

愛犬が興奮し始めたら、その時点で落ち着かせることが何より重要です。そのまま興奮し続けてしまうと、手に負えないようなパニック状態になってしまうからです。なるべく早めに愛犬の得意なコマンドで一旦動作を中断させ、落ち着かせましょう。それで愛犬をクールダウンさせられます。

まずはいつも過ごしている室内でトレーニングし、次は玄関、その次は玄関先、庭、散歩の途中、賑やかな公園といったように、徐々に犬にとっての刺激が多い場所でトレーニングを重ねましょう。いつどんなときにもそのコマンドの指示に従えるようになります。

まとめ

犬を家に迎えるのであれば、しつけを行ったり、発現してしまった問題行動を改善させるのは、飼い主さんの役割です。

飼い主さんの指示に従って行動でき、問題行動を起こさない犬になることは、飼い主さんにだけメリットがあるわけではありません。犬自身も、落ち着いて快適に過ごせるようになるのです。

なかなか上手にしつけられない、問題行動を改善できない場合は、一人で問題を抱え込まずに、かかりつけの動物病院やドッグトレーナーなどの専門家に頼りましょう。

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