子育て世帯への支援策 児童手当の拡充について解説

支給対象期間の延長

現在の児童手当は、0歳児から中学卒業まで(0歳から15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給されています。

2024年12月支給分からは、3年間延長され、高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)となります。単純計算では、第1子などの子ども1人当たり36ヶ月で36万円が増額されます。

所得制限の撤廃

現在の児童手当は、受給者になる方(基本的には父母のいずれか一方)の所得が制限を上回る場合(所得制限限度額以上で、所得上限限度額未満)は、「特例給付」という取り扱いとなり、支給額は子ども1人当たり月額5000円となります。

所得制限限度額は世帯の構成などで異なりますが、例えば、子ども2人と配偶者を扶養している場合、年収960万円程度が基準となります。

また、基準となる年収は世帯で合算した年収ではなく、受給者になる方1人分の年収(通常は父母いずれかの収入が高い方)を基準として判断されます(詳しい所得基準については、こども家庭庁「児童手当制度のご案内」や住所地の市区町村で確認してください)。

そして、2024年12月支給分からは、この所得制限が廃止され、支給対象が全員となります。

第3子加算と支給回数に関する変更

現在の児童手当は、3歳以上小学校修了前までの子どもに1万円が支給されますが、第3子以降の子どもについては1万5000円に増額される「第3子加算」の制度があります。この場合に「子ども」としてカウントする期間は高校生までとなっており、第1子が高校を卒業すると、第3子加算が受けられなくなるケースがありました。

2024年12月支給分からは、このカウント期間を22歳の年度末まで延長する予定となっています。また、第3子加算の額が3万円に増額されるとともに、支給期間も0歳から18歳までの全年齢となる予定です。

さらに、支給回数も現在の年3回(4ヶ月に1回)から年6回(偶数月)に変更される予定です。

児童手当の拡充に伴う扶養控除の引き下げ

上記のような児童手当の拡充や延長に伴って、所得税の扶養控除の控除額は、現行の38万円から25万円に、住民税に関しては33万円から12万円に縮小される予定です。

仮に、所得税の税率20%が適用される方の場合、所得税額は2万6000円の増額となります。

まとめ

政府の子育て世帯への支援策は、この児童手当の拡充を皮切りに、出産費用・保育、育休・時短勤務、高等教育費・奨学金など、さまざまな分野で開始される予定です。家計に直接影響を与える情報ですので、関心を持って見ていきましょう。

なお、この記事は2024年4月22日現在の情報を基に記載しているため、支給開始までに変更となる場合があることに注意してください。

出典

こども家庭庁「児童手当制度のご案内」

執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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