多摩区 瀬戸さん 「苦難の中に光は輝く」 自著で同世代へエール 川崎市多摩区・川崎市麻生区

書籍を紹介する瀬戸さん=4月、中野島のカフェ・香の泉で

多摩区中野島在住の瀬戸洋=本名・眞部利治=さん(85)がこのほど、小説『泣いてたまるか』(文藝春秋)を発行した。

瀬戸さんは香川県仲多度郡竜川村(現・善通寺市木徳町)出身。映画のシナリオライターを志して日本大学芸術学部に進み、卒業後はCMプロデューサーとして働く傍ら劇団を主宰。現在は都内でテレビCM制作会社を経営しながら戯曲を中心に創作活動を続ける。中野島へは約20年前に移り住み、社交ダンスや映画鑑賞の同好会に参加するなど、地域との交流を積極的に楽しんでいる。「中野島の自然や文化を生み出している多摩川の戯曲を書きたい」と創作意欲は尽きない様子だ。

書籍は自叙伝といえる内容。四国の農村に生まれた少年が夢を叶えるため父の反対を押し切り上京。銀座でバイト生活に明け暮れる中で一人の女子学生との恋に落ち将来を誓うが、突然破局が訪れる。その後、幾多の困難を乗り越えながら劇団を立ち上げ、多くの人と心通わせていく青春ロマンだ。「苦悩の中にこそ喜びがある。苦しみや辛いことに背を向けないで」と瀬戸さん。作品には「光は苦難の中から輝きだす」という強いメッセージが込められる。

ペースメーカーを心臓に入れ、週3回透析に通う。80歳を過ぎ、人生を振り返ろうと執筆を思い立った。同じ時代を過ごしてきた人々に「何歳になっても夢と希望を持って、諦めずに人生を送ろうじゃないか」と呼びかける。四六判416頁。定価1870円。(問)瀬戸さん【携帯電話】080・3799・5119。BOOKPORT中野島店で取り扱いあり(品切れの場合あり。店舗へ確認を)。

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