三越伊勢丹HD 決算/3月期営業利益が過去最高の543億円に

三越伊勢丹Hホールディングスが5月14日に発表した2024年3月期決算によると、売上高5364億4100万円(前年同期比10.1%増)、営業利益543億6900万円(83.6%増)、経常利益598億7700万円(99.5%増)、親会社に帰属する当期利益555億8000万円(71.7%増)となった。

総額売上高1兆2246億円(12.5%増)と伸びた。人件費は上振れするも、水光熱費は計画を下回り、「百貨店の科学」による販売管理費のコントロールが奏功。大幅な増収増益を計上している。

店舗売上高は、伊勢丹新宿店3758億円、三越銀座店1047億円とそれぞれ過去最高となり、三越伊勢丹計で7000億円を超えた。

営業利益は、現中期経営計画の当初長期計画(500億円)を上回る543億円を達成。経常利益とともに過去最高益となっている。

<細谷敏幸社長>

同日行われた決算会見で細谷敏幸社長は「当社が目指してきた館業から個客業への転換が実現している。デジタルを活用し、集めたお客様のデータを利益化するべく、CRM戦略を推進している。その結果、伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店の好調に加えて、三越銀座店が売上高1000億円台に到達。岩田屋三越など地方の店舗も売り上げ回復が進んだ。また、インバウンド売上高は1000億円を突破、コロナ前を大幅に上回った」と説明している。

百貨店事業の売上高は4483億1900万円(7.8%増)、営業利益は451億5900万円(121.0%増)。

高額品の好調が続き、コロナ禍前の2018年度の免税売上高を大幅に上回るとともに、1088億円と過去最高を更新した。

「高感度上質」戦略、「個客とつながる」CRM戦略を象徴する伊勢丹新宿本店の「丹青会」や三越日本橋本店の「逸品会」では、2024年2月開催時に過去最高売り上げを達成した。

クレジット・金融・友の会業の売上高は327億6600万円(6.3%増)、営業利益は40億5000万円(6.8%増)。エムアイカードが、百貨店業の売り上げ拡大に伴うグループ内でのクレジットカード利用が好調に推移したほか、社会経済活動の正常化により航空・旅行・飲食領域等のグループ外加盟店での取扱高も大幅に増加し、カード手数料収入が拡大した。

不動産業の売上高は267億8700万円(30.6%増)、営業利益は30億4400万円(24.1%減)。三越伊勢丹プロパティ・デザインが、高い技術力と高付加価値な提案営業の強みを生かし、ホテル・オフィス・商業施設等からの受注が増加した。さらに都心の大型案件の完工により、売り上げが拡大し、原材料価格の高騰の影響を強く受けながらも増収増益を確保している。

その他事業の売上高は911億2300万円(17.2%増)、営業利益は20億7300万円(82.4%増)。

三越伊勢丹ニッコウトラベルは、国内外の旅行需要が本格的に回復し、三越創業350周年を記念した特別旅行企画や欧州リバークルーズ客船旅行など、同社の強みを生かした高付加価値な旅行企画を中心に好調に推移した。円安の長期化や世界的インフレによるエネルギー価格の高騰の影響を受けながらも、増収増益を達成し、4年ぶりに黒字転換した。

スタジオアルタは、グループのリソースを最大限活用し収益を拡大させる「連邦戦略」の一環として、百貨店内の広告メディア事業を統合したグループ統合ハウスエージェンシー化を進めている。グループ内の広告案件の請負や主力の屋外広告販売が好調に推移し、大幅に増収増益となった。

2025年3月期は、売上高5480億円(2.2%増)、営業利益640億円(17.7%増)、経常利益690億円(15.2%増)、親会社に帰属する当期利益530億円(4.6%減)を見込んでいる。

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