朝鮮半島にルーツを持つ薩摩焼を受け継ぐ人たちとは?

今から400年以上前、豊臣秀吉の二度目の朝鮮出兵の帰国の際、大名たちは朝鮮人陶工を日本に連れ帰った。薩摩焼は朝鮮をルーツに持ち、今もなお伝統を受け継いでいる。5月14日の「大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)」では、沈壽官という名を引き継ぐ薩摩焼の陶工を描いたドキュメンタリー映画「ちゃわんやのはなし‐四百年の旅人」の監督、松倉大夏に壮大な歴史を引き継ぐ人たちの話を伺った。

松倉「一番最初に映画プロデューサーの李鳳宇さんからお話をもらって、沈さんにお会いしに行って半日くらいですかね、じっくりお話を聞けたんですよね。勿論ドキュメンタリーで表現してるような400年の壮大な歴史もそうですけど、一番僕が心を打たれたというか共感したのは、やっぱり十五代が父であり、師である十四代への愛情というか、それと相反するような二人の衝突というか、そういうものに凄く共感しました。僕は親子関係というものに興味があるっていうのもあったかもしれないですけど、やっぱり歴史の長い伝統を背負った上で、それを引き継いでいく十五代と、それを渡していく十四代との関係、十五代が思う気持ちみたいなものに一番突き動かされました」

大竹「十五代の方は今おいくつなんですか?」

松倉「今65歳くらいになりますかね」

大竹「十五代の方は何かドキュメンタリーの中で心を少し病んだみたいな…」

松倉「そうですね。父親との衝突の中で、やはり心が少し折れた瞬間があって、しばらく仕事ができなかったとおっしゃってました」

小島「この企画を最初に李鳳宇さんからもらった時に本を渡されたそうですね。それが司馬遼太郎さんの『故郷忘じがたく候』。故郷がなかなか忘れられないというタイトルの本。それを読んですぐに沈壽官さんに会いに行ったということですけど、司馬さんはなぜ沈壽官家に注目されたんですか?」

松倉「司馬さんが最初に陶片を見つけて、その陶片が作られているのが苗代川といわれている沈壽官窯がある場所であろうということで、沈壽官窯に行きたいということだったようです」

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