アイルランドを取り上げている作品をテーマごとにご紹介。実話ベースの作品や出身俳優の共演作まで、11作品をピックアップ。（文・大森さわこ／デジタル編集・スクリーン編集部）
カバー画像：© 2024 20th Century Studios.
今年も開催！ アイルランド映画祭2024
恵比寿ガーデンシネマにて、2024年5月31日（金）～6月13日（木）の2週間にわたって選りすぐりのアイルランド映画を上映予定。
詳細は公式サイトをチェック！
歴史を学ぶ
『麦の穂をゆらす風』
監督：ケン・ローチ
出演：キリアン・マーフィーほか
1920年代のアイルランド独立戦争と内戦が舞台で、やがては英国・アイルランド条約をめぐって対立する兄弟の悲劇を描く。
監督は英国を代表する社会派監督のケン・ローチでカンヌ映画祭パルムドール受賞作。若き医師でありながら、社会運動にのめり込む弟役をキリアン・マーフィーが好演。後半の展開があまりにも切ない。
『父の祈りを』
監督：ジム・シェリダン
出演：ダニエル・デイ＝ルイスほか
1974年にバーミンガム・パブ爆破事件が起き、アイルランドからやって来た無職の若者ジェリー・コンロンと彼の父親が無実の罪で投獄される。実話の冤罪事件の映画化で、主役のダニエル・デイ＝ルイスと父親役のピート・ポスルスウェイトの名演が光る。
ダニエルがオスカー初受賞となった名作『マイ・レフトフット』（1989）のジム・シェリダンが監督。
『マイケル・コリンズ』
監督：ニール・ジョーダン
出演：リーアム・ニーソンほか
英国からの独立に力を尽くしたアイルランドの運動家、マイケル・コリンズの生涯を描き、本国では記録的な大ヒットに。1916年から1922年が舞台。
コリンズ役のリーアム・ニーソン、政治家のエイモン・デ・ヴァレラ役のアラン・リックマンらが最高の演技を披露している。アイルランドの名匠、ニール・ジョーダン監督の渾身の一作。
『アンジェラの灰』
監督：アラン・パーカー
出演：エミリー・ワトソンほか
ピューリッツァー賞を受賞した1996年刊行のフランク・マコートの回想録をアラン・パーカー監督が映画化。アメリカで暮らしていたアイルランド移民の一家が故郷に戻り、新生活を始める。
1930年40年代のアイルランドの庶民の厳しい生活ぶりと生命力が伝わるドラマ。主人公の両親役はエミリー・ワトソンとロバート・カーライル。
文化&ロケーションを知る
『ザ・コミットメンツ』
監督：アラン・パーカー
出演：ロバート・アーキンズほか
アイルランドは生活の中に音楽が溶け込んでいる場所。そんなアイルランドの街とソウル・ミュージックの魅力が炸裂する青春バンド映画の傑作。バンドの結成を決意した青年の夢とメンバーたちの葛藤を描く。
ロディ・ドイルの人気小説を音楽映画が得意なアラン・パーカーが映画化した。ユーモアあふれるバンドの描写が痛快。
『静かなる男』
監督：ジョン・フォード
出演：ジョン・ウェインほか
アイルランド移民のアメリカの巨匠、ジョン・フォードが故郷への思いを込めて作った人間ドラマの名作。フォードの盟友、ジョン・ウェイン主演。プロボクサーだった気のいい男が故郷アイルランドの小さな村、イニスフリーに戻り、勝気な娘と出会う。名優、モーリン・オハラがアイルランド的な気の強い女性を好演。
『ONCE ダブリンの街角で』
監督：ジョン・カーニー
出演：グレン・ハンサードほか
『ザ・コミットメンツ』（1991）にもミュージシャン役で出演したグレン・ハンサードが音楽と主演。ダブリンで出会った地元の男性とチェコ移民の女性が音楽を通じて心を通わせる。
低予算作品にもかかわらず評判を呼び、サントラ盤も大ヒットとなる。映画の成功後、ブロードウェイでミュージカル化もされ、トニー賞も受賞。
『プルートで朝食を』
監督：ニール・ジョーダン
出演：キリアン・マーフィーほか
キリアン・マーフィーの初期の代表作で、ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞候補となる。アイルランドで育った女装が好きな青年が母親を探すため、ロンドンに行く。舞台は1970年代でコメディ風の語り口ながら、ニール・ジョーダン監督らしい官能的で幻想的な街の描写が印象的。メイクをしたキリアンがハッとするほど美しい。
出身俳優の演技を楽しむ
『イニシェリン島の精霊』
監督：マーティン・マクドナー
出演：コリン・ファレルほか
主人公のコリン・ファレルをはじめアイルランドの実力派が勢ぞろいの傑作。
舞台は1923年、アイルランドの小さな島で暮らす主人公は、長年の親友から絶縁を告げられ動揺する。コリン・ファレル、妹役のケリー・コンドン、友人役のブレンダン・グリーソン、隣人役のバリー・コーガンは揃ってオスカー候補となる。監督はマーティン・マクドナー。
『ダブリン上等！』
監督：ジョン・クローリー
出演：コリン・ファレルほか
舞台はアイルランドの首都ダブリン。人生のどん底からはい上がろうとする庶民の姿をユーモアたっぷりに見せるヒューマンな作品。
誘拐と銀行襲撃を思いたったチンピラ役にコリン・ファレル、その友人で元カノへの思いを吹っ切れないスーパーの店員役にキリアン・マーフィー。まだ初々しいコリンとキリアンに会える！
『FRANK －フランク－』
監督：レニー・アブラハムソン
出演：ドーナル・グリーソンほか
コメディアン、クリス・シーヴィの持ちネタ、フランク・サイドボトムを基にしたコメディ。ミュージシャン志望の主人公はフランクのバンドに参加し、やがてアイルランドでレコーディングを始める。
主人公はドーナル・グリーソン、奇妙な被り物で歌を披露するフランク役はマイケル・ファスベンダー。2人の共演が楽しい。
