英賃金、1─3月は予想上回る6.0%上昇 割れる市場の利下げ見通し

Suban Abdulla

[ロンドン 14日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が14日発表した1─3月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比6.0%と、市場予想を上回った。

ロイターがまとめた市場予想は5.9%だった。2023年12月─24年2月は6.0%。

イングランド銀行(英中央銀行)は先週、政策金利を据え置き、早ければ6月に利下げを開始する可能性を示唆したが、高い賃金上昇率がインフレ再燃の原因にならないか注視している。

ハント財務相は「賃金上昇率は10カ月連続でインフレ率を上回っており、生活費が圧迫されている家計に寄与するだろう」と述べた。

変動が激しいボーナスを含む賃金の上昇率は5.7%。市場予想は5.5%だった。

民間の賃金上昇率はボーナスを除くベースで6.0%から5.9%に鈍化した。

統計発表後、ポンドは対ドルで一時、小幅に上昇した。

賃金上昇率は依然高水準だが、今回の統計では労働市場の過熱感が一部薄れている兆しも見られた。

失業率は4.3%と、23年5─7月以来の高水準。ただ、ONSは失業率算出の基になる調査の見直しを続けているとの注意書きを付けている。

ONSの幹部は「労働市場が冷え込んでいる暫定的な兆しが引き続き見られる。家計調査の雇用者数と給与支払い名簿に記載されている労働者数の双方が直近の期間で減少した」と述べた。

<アナリストの見方割れる>

パンテオン・マクロエコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ロブ・ウッド氏は、労働市場が引き続き軟化しており、6月の利下げにゴーサインが出たと分析。

一方、インディードのシニアエコノミスト、ジャック・ケネディ氏は賃金上昇率が予想を上回り、6月の利下げに疑問符が付いたとし、中銀がデータをさらに見極める根拠になると指摘した。

市場は引き続きほぼ五分五分の確率で6月に利下げが開始されると予想している。

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