受給者がお金を借りること自体は問題ない
結論からお伝えすると、生活保護を受給している人にお金を貸すこと自体は、問題がないといえます。
貸したお金は受給者の「収入」としてカウントされますが、生活保護制度では受給者が収入を得ることを制限していません。
受給者は働いて給料を得てもよいですし、家族や友人から借用することもできます。
生活保護はもともと、国が定める「最低生活費(1ヶ月生活するのに必要な最低金額)」に足りない分を補足することが目的です。
受給者に一定の収入があるものの、その収入が最低生活費に満たない場合、生活保護費で不足分がカバーされるのです。
生活保護受給者は収入の申告義務がある
生活保護を受給する人には、収入を定期的に申告する義務が課せられています。前述の通り、知人から借りたお金についても、収入であるため報告が必要です。
仮に収入が申告されておらず、後に調査で収入の存在が発覚した場合は「不正受給」とみなされるおそれがあります。
不正受給が行われるとどうなるか?
受給者が不正受給を意図的に行っていたり返還要求に応じなかったりなど、その行為が悪質であると判断された場合には、告訴されるおそれがあります。その場合、生活保護法第85条の罰則が適用されてしまうかもしれません。
生活保護法第85条1項によると、不正受給には3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
そのため、もし受給者が収入の申告を怠っているようなら、お金を貸すべきではないでしょう。心配な場合は念のため、お金を貸してほしいと言っている知人に「申告をしているかどうか」確認しておくとよいかもしれません。
生活保護受給者が申告すべき収入
生活保護受給者が申告すべき収入には、知人から借りたお金以外にも以下に挙げるようなものが含まれます。
__●給料・ボーナス
●親族からの援助金
●知り合いに貸して返ってきたお金
●自治体からの入金
●生命保険金
●年金
●税金の還付
●不動産や動産の売却益
●フリマアプリの収入
●商品券
●著作権収入
●慰謝料 など__
すべての世帯員の収入について届け出が必要です。また世帯員の構成や就労状況に変化があった場合も、やはり届け出の義務があります。
生活保護受給者でも知人からお金を借りることは可能だが、申告が必須
生活保護受給者にお金を貸すこと自体は問題ありません。しかし貸したお金は「収入」となり、受給者にはその収入をほかの収入とあわせて申告する義務があります。
申告を怠っている場合は不正受給にあたる可能性があり、悪質なケースでは罰則が科せられるおそれもあります。そのような場合にお金を貸すことは賢明とはいえないでしょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
e-Govポータル 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号) 第十三章 雑則 第八十五条(罰則)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー