なじみの光景が消えてゆく-。滝沢市大崎地区で、かつて「不毛」とされた土地に潤いを与えた農業用水路の解体工事が進んでいる。岩洞ダム(盛岡市)を水源に、約60年前に先人の奔走によって事業化され、稲作が盛んな地域になった。住宅街を通る城壁のような「開拓の象徴」は地下に埋設されて見えなくなるが、住民は「ずっと支えてくれた」と感謝する。
閑静な住宅街にトラックが行き交い、重機の音が響く。数メートルの盛り土の上に整備された、コンクリート製の用水路(高さ2.5メートル、幅約4メートル、延長約560メートル)。岩手山麓農業水利事業所によると5月は約390メートルの撤去を見込み、2026年度内に解体工事が完了する予定だ。