岩手県内の地銀3行が同じ日にそろって昨年度決算を発表 それぞれの戦略を垣間見ることができる内容に

岩手銀行、北日本銀行、東北銀行の岩手県内の地方銀行3行は14日、昨年度の決算を発表しました。新型コロナ5類移行から1年、各行それぞれの戦略とは?

岩手銀行は3期ぶりの減収減益です。
一般企業の売り上げにあたる経常収益は株式の売却益などが減少したことで前年度から8%減少し386億6800万円となりました。当期純利益は前年度から20%あまり減少し40億6800万円です。岩手銀行の岩山徹頭取は「ゼロゼロ融資の返済などで事業継続をあきらめる企業と、業績が回復する企業と二極化している」とコロナ禍明けの市場環境を分析しました。また14日の取締役会で田口幸雄代表取締役会長(70)の退任が決まったことが発表されました。

北日本銀行は3期連続の増収増益です。
経常収益は利回りの低い20年国債を大量に売却し28億円をマイナス計上したものの株式などの売却益がそれを上回り前年度22.1%増の244億2300万円となりました。これを受けて当期純利益は前年度を17.1%上回る30億1600万円となりました。北日本銀行の石塚恭路頭取は「株価上昇、金利上昇の流れの中、自分たちのポートフォリオ=資産構成を見直すことができた」と決算を評価しました。

東北銀行は6期ぶりの増収減益です。
経常収益は前年度より7.8%増の129億9000万円でした。一方、貸出金が回収できなくなる場合に備えて損失計上する与信関連費用=与信コストが前年度より10億円以上多い14億300万円と大幅増となったことから当期純利益は前年度比マイナス6.5%の13億2700万円となりました。東北銀行の佐藤健志頭取は「与信コストが増加したものの、収益力強化の成果で業績目標に近い利益を確保できた」と決算の受け止めを語りました。

「業績二極化への備え」「国債の損切り」「与信関連費用の積み増し」。地域経済と金融に大きな役割を果たす県内3行の昨年度決算は、それぞれの戦略が見える内容となりました。

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