逗子警察署長、葉山警察署長に聞く、特殊詐欺被害、交通事故についての現状 逗子市・葉山町

2023年の神奈川県内における特殊詐欺被害は2024件、被害総額45億7,000万円で依然として多くの人が被害にあっている。逗子市、葉山町に目を向けると、逗子市は昨年は28件、被害総額5,400万円で前年比プラス18件、プラス3,700万円と大幅増加を見せた。葉山町は5件、925万円で前年比プラス2件、プラス635万円だった。(被害金額は全て約)。

交通事故については逗子市は昨年145件発生。今年もすでに40件発生(4月30日時点)しており、その内、65歳以上の高齢者の関係事故が22件で55%の割合を占めている。葉山町は昨年110件、今年は42件(4月30日時点)で高齢者事故は14件で33.3%となっている(今年の数値は暫定値)。

留守電で詐欺防止

逗子警察署の志原光徳署長によると、最近の特殊詐欺の県下的な傾向として従来型のオレオレ詐欺のほか、ロマンス詐欺、投資詐欺なども増えてきており、広範囲にわたる対策も必要になってきているという。

逗子市内では今年に入って被害は2件、被害額は600万円。傾向として減ってきてはいるが、金融機関やコンビニでの未然阻止も6件あったうえでの件数で、昨年2月に集中して10件の被害が発生したこともあり、予断を許さない。

被害防止対策として、迷惑電話防止機能付電話への交換や取り付け、常時留守番電話の設定を勧める。また、相手の電話番号が+(プラス)で始まる番号は国際電話番号の可能性があるので出ない、拒否するようにと注意を促す。

予防で被害が抑えられることが理想で、高齢者本人の意識も大切だが、家族の協力も大きな力になる。「警察が何を言うよりも、お子さんやお孫さんからの言葉の方が響きます」と志原署長。

さらに、金融機関やコンビニのATMで「ちょっと気になる高齢者がいたら警察に通報してほしい」とも話す。「高齢者に声をかけるのは大変勇気のいること。しかし、それが被害の発生を少しでも減らすことにつながるはず」と協力を呼び掛ける。

高齢者事故に注意

昨年の交通事故件数は逗子市内は145件、葉山町内は110件と決して多くはないものの、今年2月には逗子市内で死者が出るなど、警察署はより一層の交通安全を呼び掛けている。

逗子市内、葉山町内で共通しているのは事故における高齢者の割合が高いこと。逗子では昨年62件の高齢者関連事故が起こり、事故件数に占める割合は42・8%。今年に入ってからは全体事故件数40件に対し高齢者事故は22件と、半数以上を占める。葉山においても昨年110件の事故に対し、高齢者関連は42件で38・2%と県平均の34%を上回っている。

運転免許保有者のうちの高齢者の割合は県平均19・6%に対し、逗子市は23・9%、葉山町は27・1%と高い数値を示している。葉山署の柳川謙司署長は「車がないと不便という土地柄、保有率は高くなると思う。ドライバー講習のようなものを受けて、自分の運転技術を確認し、不安を感じるようであれば免許の返納も検討してほしい」と話す。昨年の高齢者の免許返納者は逗子は173人、葉山は119人だった。

柳川署長は「交通ルールの遵守は当然として、自動車、二輪車、自転車、歩行者がそれぞれ『マナー』を守ることでも事故は減らせると思う。警察としては交通安全教室などを通して、そうした啓発にも取り組んでいく」と語った。

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