ガンダムに負けず劣らずカッコいい! 敵側のエース級が搭乗する「白いモビルスーツ」たち

バンダイのプラモデル「HGUC 1/144 MS-06R-1A シン・マツナガ専用ザクII」

アムロ・レイが乗る型式番号RX-78-2ガンダムは、白色を基調としたモビルスーツで、その見た目と性能から“連邦の白い悪魔”と呼ばれ恐れられた。しかし、ガンダムシリーズにおいて白色を基調とするモビルスーツはガンダムだけとは限らない。

そこで今回は敵側のエース級が搭乗する「白いモビルスーツ」たちに注目する。RX-78-2ガンダムに負けず劣らず、白くてカッコいいモビルスーツたちの活躍を見ていこう。

■“ソロモンの白狼”と恐れられたシン・マツナガ専用高機動型ザクII

1機目は、シン・マツナガが乗るMS-06R-1A高機動型ザクIIだ。

搭乗者であるシン・マツナガは、ジオン公国軍宇宙攻撃軍のエース・パイロットで、階級は大尉。見た目こそ髭面で貫禄十分のおっさんだが、実際は24歳と意外に若い。非常に優秀で、一年戦争時はドズル・ザビの懐刀として活躍していた。

シン・マツナガはその活躍から“ソロモンの白狼”の異名を持ち、愛機である高機動型ザクIIは、彼のパーソナルカラーである白色にカラーリングされ、“白い狼”のマークが施されている。また近接戦闘を得意とし、専用の大型ヒート・ホークを好んで使用していた。

マツナガとその白いザクIIは、ソロモン防衛の要として活躍していたが、マツナガがソロモンを離れていたタイミングで連邦軍の総攻撃が始まり、ソロモンは陥落し上官であるドズルも戦死する。そして、彼の白いザクIIも最後は活躍がないまま格納庫内で焼かれてしまった。

ちなみに、彼がソロモンを離れた理由は、新型のMS-14JGゲルググJの受領のためだったともされている。一年戦争後、シン・マツナガは消息不明となっているが、アクシズ付近で白いゲルググJが目撃されたとも……。

シン・マツナガと専用ザクIIは、プラモデル企画『モビルスーツバリエーション』で誕生し、漫画やゲームなどでの活躍はあるものの、映像作品での活躍はまだないのは残念だ。仮にシン・マツナガが乗る白いザクII、もしくは白いゲルググJがソロモン防衛に参戦していれば結果はどうなっていたのだろうか。さすがに大勢には影響なかったかもしれないが、ドズルは死ななかったかもしれない……?など、非常に想像が掻き立てられる面白い機体である。

■“ホワイトオーガー”の異名は伊達じゃない!エルマー・スネル専用ザクIIJ型

次は、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』に登場したエルマー・スネルのザクIIJ型を紹介する。

2008年に発売された本作は、一年戦争を舞台に地球連邦軍の視点から地上戦が描かれたフル3DCGアニメだ。搭乗者であるエルマー・スネルは、ジオン軍のエースパイロットで、階級は大尉。連邦軍視点の作品ということもあるのだろう、劇中確認できるのはモビルスーツごしから聞こえる大塚明夫さんが演じるエルマーの渋い声ぐらいで、容姿はほとんど分からない。

彼が乗る型番MS-06J ザクIIJ型は、エルマーのパーソナルカラーである白色にカラーリングされ、頭部とシールドにトカゲのマークが施されている。戦場で暴れ回るその姿から“白き鬼(ホワイトオーガー)”の異名で呼ばれ、敵味方から恐れられていた。

作中でエルマーの白いザクIIJ型は、主人公の一人であるハーマン・ヤンデル率いる61式2個小隊と戦闘を繰り広げる。エルマーは敵隊の8輌すべてを撃破し勝利を確信したのだが、この日臨時で編成に加わっていた9輌目ヤンデル車に背後を取られ、白いザクIIJ型はコクピットを撃ち抜かれてエルマーも戦死している。

61式戦車との砂ぼこりを舞い上がらせながらの地上戦は、3DCGアニメーションでありながら無骨で生々しく、非常に緊張感がある戦闘シーンだった。その中でもエルマーの白いザクIIJ型の存在感は際立っていた。

■“亡霊”の名を持つザク、レイ・ザ・バレル専用ザクファントム

最後は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場したレイ・ザ・バレルのザクファントム。

搭乗者であるレイ・ザ・バレルは、ザフト軍の新鋭戦艦ミネルバに所属するエリート赤服モビルスーツパイロット。彼が乗る型式ZGMF-1001/Mは、“ファントム(亡霊)”の名が付いたザクウォーリアの上位機種。基本性能はザクウォーリアと同じなのだが、両肩のシールドと頭部に通信・指揮機能の強化を図る隊長機特有のブレードアンテナがある。

また、レイのザクファントムは彼のパーソナルカラーである白色にカラーリングされ、劇中では機動性や火力の高い”ブレイズウィザード”を好んで使用した。ちなみに同機のザクファントムを、ディアッカ・エルスマンはグレー、ハイネ・ヴェステンフルスはオレンジにそれぞれ専用カラーリングしていた。

レイはアル・ダ・フラガのクローンで、存在を同じくするネオ・ロアノーク(ムウ・ラ・フラガ)とは互いを感知し合い、劇中では度々レイの白いザクファントムとネオのMAエグザスが戦闘を繰り広げていた。

オーブ侵攻戦、レイのザクファントムはミネルバの甲板に張り付き応戦していたが、オーブ軍の可変MSムラサメの特攻とも言える激しい攻撃により中破する。それ以降レイは新たに配備されたレジェンドガンダムに搭乗するため、残念ながら白いザクファントムはそのまま修理されることなくお役御免となっていた。

今回は、敵側のエース級が搭乗する「白いモビルスーツ」たちを紹介してきた。戦場で認識されやすかったりダメージが目立ったりと、合理的に考えると白色は戦場には似つかわしくないカラーリングなのかなとも思える。

しかし、今回紹介したモビルスーツたちは、そんな杞憂など凌駕する活躍を見せていた。いずれの機体も悲運な最期を遂げているのだが、それもまたモビルスーツの兵器として当然の姿であり、魅力の一つともいえるのではないだろうか。

© 株式会社双葉社