HIV（ヒト免疫不全ウイルス）に感染していた米アイダホ州在住の男に5月6日、性的接触を通じて故意にHIVを広めようとしたとして、30年の実刑判決が下された。複数の米メディア が報じている。
HIV検査の様子（イメージ画像）
CBSニュース によると、きっかけは2023年8月のおとり捜査だった。アレクサンダー・ルイ被告（34）は、覆面刑事が扮した「15歳の少年」とネットで連絡をとり、性的なメッセージや自分の裸の写真を送ったりしたという。実際に会う約束をとりつけ、被告は児童を誘引した疑いで逮捕された。
捜査が進むにつれ、被告はHIV陽性と診断されたにも関わらず、エイズの発症を抑える薬などを服用していないことが判明。「HIVを移すため、男性や10代の少年と意図的に性的接触を持った」と当局に語った。
これまで、16歳の少年を含む30〜50人と性交渉を行ったという。
エイダ郡のヤン・ベネッツ検察官は声明で、「被告人の度重なる悪質な犯罪は、地域社会の多くの人々に悪影響を与えた」と非難した。被告と性的接触を持った人々の健康被害などについては、明らかになっていない。
HIVに感染した場合、ウイルスを完全に排除することはできないが、現在は投薬などで増殖を抑え、免疫力を維持できる。治療の継続により、感染前と変わらない日常生活が可能 だ。
国立国際医療研究センター、エイズ治療・研究開発センター によると、抗HIV治療（ART）では、作用の異なる抗HIV薬を患者ごとに組み合わせ内服することで、ウイルス量を検出限界未満に抑え、維持する。世界的なガイドラインでは、すべての患者に治療が推奨されている。
