半導体バブルの熊本、地価上昇率は30%超えも!固定資産税はどのくらい値上がりする?

KOROKICHIKUN / PIXTA

台湾半導体メーカーTSMCの進出で、工場ができた熊本県菊陽町にバブルが起きている。台湾から多くの人が移り住み、マンション価格や家賃が続々値上がりしているのだ。また、地価の上昇で土地を手放した人も多いという。

一方、固定資産税評価額は3年に一度評価額の見直しがされ、令和6年度はちょうど評価替えの年にあたる。評価額の目安となる「公示地価」が3月に公表され、菊陽町の商業地は上昇率30.8%、同県大津町に至ってはさらにその上をいく33.2%となり、全国商業地の上昇率で熊本県が1・2位を占める結果となった。

公示地価の上昇に伴い、固定資産税の値上がりを懸念している地元の方も多いかもしれないが、実は「負担調整措置」という制度があるため、すぐに固定資産税が急激に上がる、ということはないようだ。

この「負担調整措置」とはどういうしくみなのだろうか。蝦名和広税理士に聞いた。

●固定資産税は急に爆上がりすることはない

「負担調整措置とは、土地の固定資産税が急激に上昇して税負担が重くなり過ぎないよう、徐々に上昇するよう調整する仕組みのことです。

固定資産税は、固定資産評価額をベースに特例があれば適用させ、負担調整をして求められた課税標準額に税率を乗じることで算出されます。

固定資産税評価額が短期間で上昇してしまう場合も、負担調整措置があることで課税標準額は徐々に上昇するように調整されるため、結果固定資産税も急激に上昇しないこととなります。

負担調整措置は、土地の用途ごとに負担水準による課税標準額の計算方法が異なり、以下の3つに分かれます。

1)原則の負担調整措置
2)商業地等に適用される負担調整措置
3)一般農地・一般市街化区域農地に適用される負担調整措置

なお、土地には地目がありますが、固定資産税においては、登記上の地目ではなく現況の地目(課税時期に使われている用途による地目)で判断されるので注意が必要です」

●「土地の分筆」で節税になるケースも

ーー Q.一般的な宅地において、固定資産税を安くする方法はあるでしょうか。

「一般的な宅地は、『小規模住宅用地の特例措置』など、政策的な特例が賦課決定される段階で適用されています。そのため実感はあまりありませんが、多くの場合固定資産税を下げる減税措置が適用されているはずです。

ですが、固定資産税を下げる1つの方法として、先述の通り固定資産税は固定資産評価額をベースに算出するため、1筆の土地を旗竿地として分筆することで、間口が狭まり評価が下がるケースや、角地を分筆することで角地の面積が減り評価が下がるケースもあります。

ただし、登記費用や測量費を加味すると、トータルで負担が軽くなるかはケースバイケースなので注意が必要です。

他には、実際の登記上の地目と固定資産評価額を算出する上での用途が異なる場合には、固定資産評価額が下がる可能性もあります。まずは固定資産税の納税通知書で、自身の土地がどのように評価されているかを確認するところから始めることをオススメします」

【取材協力税理士】
蝦名 和広(えびな かずひろ)税理士
特定社会保険労務士・海事代理士・行政書士。北海学園大学経済学部卒業。札幌市西区で開業、税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味はジョギング、一児のパパ。
事務所名 :Aimパートナーズ総合会計事務所
事務所URL:https://office-ebina.com

© 弁護士ドットコム株式会社