「ギャンブルと出合い徐々に歯車が狂い始めた…」 ギャンブル依存症の治療施設に入所した男性が語る はまったら抜け出せない恐怖とは? 岩手

「違法賭博問題」で訴追された大谷翔平選手の元通訳・水原一平被告の事件で注目される「ギャンブル依存症」。5月に岩手県矢巾町に開設した治療施設に入所している男性を取材しました。はまると抜け出せないギャンブル依存症の恐怖とは。

(入所している男性)
「ギャンブルと出合って徐々に歯車が狂い始めたというか焦りが大きくなってきました」

ギャンブル依存症に苦しむ32歳の男性です。男性は5月1日、矢巾町に開設されたギャンブル依存症患者の支援活動を行う団体「東北グレイス・ロード」が運営する治療施設、「岩手サポートセンター」に入所しました。

(入所している男性)
「もともと身近にギャンブルがあって、小さな時から父親がパチンコと競馬をしていて、競馬に関しては一緒に予想したりとか父と話すきっかけになって」

ギャンブルは父親との会話のきっかけでもあったが幼少期は無縁だと感じていた男性。しかし、18歳の時に始めたパチンコをきっかけにギャンブルの泥沼にはまっていきます。

(入所している男性)
「初めは付き合い程度でやっていたものが、いつしかみんなで行っていたものが1人で行くようになって、ギャンブル中心に生活が回るようになって…」

ギャンブル依存症は、パチンコや競馬などのギャンブルにのめり込んで欲求をコントロールできなくなる状態に陥る精神疾患の1つです。厚生労働省が2021年に実施した調査によりますと、ギャンブル依存症が疑われるのは18歳以上75歳未満でおよそ2.2%と推計されています。

男性は次第に借金が膨れ上がると早く返済しようという一心でさらにギャンブルにのめり込んでいきます。

(入所している男性)
「早く解放されたい・やめたいというのを理由にギャンブルをしてしまうんですよね。そのループから抜け出せない」

家族などに借金を立て替えてもらってもやめられないギャンブル。男性は依存を断ち切るきっかけを求めて施設への入所を決めました。施設の環境や出会った仲間の存在が男性に大きな変化を与えているといいます。

(入所している男性)
「冷静に客観的に自分を見ることができるようになったのは、この施設のおかげで、ずっと自分の人生は真っ暗だと思っていたんですけど、少しずつ明るく前向きに考えられるようになった」

施設では現在、16人が共同生活を送り、互いの経験を語り合い、抱えている辛い過去を共有するなどさまざまな回復プログラムやボランティア活動を行いながら社会復帰を目指しています。

この施設でセンター長を務める田村仁さん。自身も大学時代にパチンコにのめり込み、借金が多い時には400万円にも上り、ギャンブル依存症に苦しんだ経験があります。

(田村仁さん)
「ギャンブル依存症は周りを巻き込む病気なので、家族や友人、会社だったり周りの人に自分も迷惑をかけたので、そういう所が一番怖いかなと思います」

ギャンブル依存症の恐怖を身をもって知っている田村さんが職員として働く今、入居者への思いとは…

(田村仁さん)
「ここで回復して、もう一回社会に出て、活躍してもらうのと同時にギャンブル依存症ってこういう病気で、きちんと回復できるんだよということをみんなに知ってもらえるような存在になってもらえたらと思ってます」

14日から20日まではギャンブル依存症対策基本法により「ギャンブル等依存症問題啓発週間」に定められています。各地域の多重債務相談窓口で相談を受け付けているほか、専門機関への紹介も行われています。

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