公園利用の今、市に聞いてみた ボール遊び、しちゃだめ? 藤沢市

今年3月に開園した吉野町公園に設置された看板。ピクトグラムなどで本格的な球技を禁止している

子どもの遊びから「サンマ」がなくなったといわれる。「時間」「空間」「仲間」の3つの「間」だ。子どもの遊び場の代表格と言えば公園だが、そういえば近隣住民とのトラブルなどから「公園でボール遊びができなくなった」と耳にして久しい。自由に遊べる空間が少ないことを象徴しているのだろうか。真偽を確かめてみた。

今年3月下旬、本町1丁目に開園した吉野町公園。真新しいアスレチックや複合遊具が子どもたちを喜ばせる園内の看板にこう記されている。サッカーボールやバットのピクトグラムに赤でバツ印が付けられ、「本格的な球技はやめましょう」。はて、本格的とはどの程度の線引きなのだろう。

藤沢市公園課に尋ねてみると、「市内の公園でのボール遊びは一律に禁止ではない。他人の迷惑になるような行為はいけません」とのこと。なるほど、さほど広くない公園で硬いボールを使用するのは確かにはばかられる。だけど、子どもの球技ならやってもいいのかしら。

同課によると、「本格的な試合形式だと、他の公園利用者に危険が及ぶ可能性があるので、NG」。一方、周囲に人がいないことを確認した上で、少ない人数で柔らかいゴムボールやビニール製のバットなどを使って遊んだり、キャッチボールをしたりするのは「OK」という認識だ。

ただ、「本格的な球技」と「ボール遊び」の明確な線引きはなく、市では火気使用の禁止などと同じく「〜はやめましょう」と「お願いベース」で行動を制限しているのが実情のようだ。

制限?自由利用?

そもそも、都市公園には、他人の共同使用や安全に支障を及ぼさない範囲で誰もが自由に遊んだり過ごしたりできる「自由利用の原則」がある。それに逆行するように制約が表立つのは、公園利用を巡るトラブルの積み重ねがあるからだ。

「隣接する家の敷地や住民の車にボールが飛んできて困る」「子どもたちの声がうるさい」「乳幼児にボールが当たるかもしれないのが怖い」。同課にはそういった苦情が寄せられるという。また「子どもがボールを追って道路に飛び出したら危ない」という交通安全上の懸念も根強い。

現状、市内の公園で野球やサッカーをするには、八部球場や秋葉台公園などのスポーツ施設を利用する必要がある。一方、他市では条件付きでボール遊びができることを周知する動きも。川崎市では2019年から「ボール遊びは、まわりの迷惑にならないように注意して、ゆずりあって行いましょう」と禁止看板の表記を随時変更している。藤沢市では「制限なく遊べるのが理想だが…。公園利用者皆が気持ちよく使ってもらえるような遊び方をしてほしい」としている。

© 株式会社タウンニュース社