Qi アイアンを西川みさとが試打「1Wとの距離感が縮む MAXと相性◎」

真っすぐ飛ばせる「Qi」のアイアン HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

ドライバーでやさしさの新世界基準“10K”を打ち出したテーラーメイド「Qi10」のアイアンシリーズ「Qi アイアン」。右へのミスを防ぎ、直進性を探求したデザインで、飛距離性能とかつてない直進性能を発揮するという。そんな同社が誇る真っすぐ飛ばせるアイアンを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずは、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「安心感のメリット大 ウッドとの整合性が特徴か」

終始かなり高い弾道に(打ち出し角:平均21.1度)

―率直な印象は?
「ヘッドサイズは大きめで、構えた際の安心感は抜群。ちょっと打点ズレを起こしても、基本的に楽にボールが上げられるので、ミスを気にせずやさしくボールを運ぶことができます。ただ、打感は結構硬い音による反発の強いフィーリングなので、狙った位置にボールを止められるかどうか、少し心配な部分は残りました…」

番手ごとに直進性、弾道の高さ、正確性を発揮する新統合システムを採用

―見た目の顔立ちは?
「ボッテリした顔立ちですが、大きすぎてアイアンらしさを失ってしまうほどではありません。厚みのせいで操作性が落ちるデメリットよりも、サイズによる安心感のメリットのほうが大きい。大きすぎず小さすぎない適度な範囲内で、最大限にやさしさを生むデザインに仕上がっています。そのあたりのコンセプトは、前作までの流れをしっかり踏襲している気がしました」

7I(ロフト28度)のアドレスビュー

―前作「ステルス アイアン」との性能の違いは?
「『ステルス』シリーズのときは、ドライバーとアイアンで性能差がかなり開いている印象でした。ドライバーが低スピン性能に振っている分、ボールの上げやすさにシビアで、やや難しい印象に対し、とにかくやさしいアイアンという構図。『Qi10』シリーズでは、ドライバーが高慣性モーメント化によるやさしさを加速させたことで、一気にその差が縮まりました。『ステルス』の際に感じていたウッドとアイアンの距離は確実に縮まり、同シリーズとしての統一感が増したように感じます」

90g台スチール「NSプロ 820GH」(R)を評価

―打感のフィーリングは?
「球離れが速い感じ。その影響がどういう風になるかは、実際にコースで打たないと分かりませんが、純正のカーボンシャフトとスチールでも大きく変わることが分かりました。スチール(NSプロ 820GH、910GH/フレックスRとSの2種類のみで、Rは820GH、Sは910GH)も打感は硬いけれど、カーボンほどではなかったという感想です。私は軽量であれば、層の厚いカーボンより単層のスチールのほうがしなると思っているのですが、今回の試打でしなり量と振りやすさが一番適度だったのはスチール820GHのRでした」

ダフリへの強さをイメージできる分厚いソール幅

―適したスイングは払い打ち or 打ち込むタイプ?
「一見ユーティリティのような形状に見えますが、基本的には打ち込まないと、理想的な弾道にならないアイアンの特徴を有しています。分厚いソール幅から、滑ってくれるイメージが強いですが、必要最低限は上からヘッドを入れないと番手通りの距離を生むことができません。他のモデルよりは確かに弾道の高さは出やすいですが、入射角が全くない打ち方では対応できない。もちろん意識的に鋭角に打ち込む必要はありませんが、緩やかな角度で少し上から入れる意識は持っておくべきでしょう」

「同シリーズ1Wとそろえて購入してほしい」(西川)

―どのような人向き?
同シリーズのドライバーとそろえることがベスト。アイアンとしてのやさしさはもちろん備わっているので、アイアンショットで高さが出ずに悩んでいる人、ミドルホールの2打目やロングホールの3打目で上からグリーンを攻めたい人向きであることは間違いありません。ただ、他社の中空モデルや寛容性の高いモデルと比べ、特別何かが秀でているというよりは、同社ドライバーとの併用を考えたバランスのよさ、総合的な整合性を重視しているようにうかがえます。特にシリーズ最大のやさしさを誇る『Qi10 MAX ドライバー』とのセット購入が理想的ではないでしょうか」

硬めな打感は3.5△だが、安心感で構えやすさ4.5【総合評価4.0点】

【飛距離】4.0
【打 感】3.5
【寛容性】4.0
【操作性】4.0
【構えやすさ】4.5

・ロフト角:10.5度
・使用シャフト:カーボン Diamana BLUE TM60(硬さS)、スチール NSプロ 910GH(硬さS)/―820GH(硬さR)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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