「漁場や地域のつながり奪われた」…馬毛島自衛隊基地建設の差し止め求め、地元漁師は訴えた 「1人になっても声上げる」 鹿児島地裁で初弁論

 鹿児島県西之表市馬毛島の自衛隊基地建設によって漁を営む権利が侵害されたとして、地元の漁師が国に対し工事差し止めを求める訴訟の第1回口頭弁論が14日、鹿児島地裁(窪田俊秀裁判長)であり、原告は「工事によって漁場や地域のつながりが奪われた」と訴えた。国は請求棄却を求めた。

 馬毛島の開発を巡っては、民間会社が所有していた20年以上前から地元漁師らが法廷闘争を続けてきた。原告の漁師浜田純男さん(69)は「先輩たちは年を取り原告から退いた。一人になっても馬毛島の漁場と自然を守るために声を上げる」と意見陳述した。

 関係者によると国は答弁書で、原告が主張する漁業法上の組合員行使権と自由漁業権は差し止め請求の根拠とならず、権利侵害や工事の違法性はないと主張した。

 原告側は訴状などで、馬毛島周辺の漁場が工事で不可逆的に破壊され、漁業制限によって主要な漁場で長期間操業できなくなると主張。種子島漁協が漁業権の一部放棄と約22億円の漁業補償に同意した決議は無効で、原告には工事の差し止めを請求する権利がある、としている。

〈資料〉馬毛島の全景。画面奥は種子島本島=西之表市の馬毛島(本社チャーター機から撮影)

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