元iPS細胞研究所職員の女性、解雇無効の訴えが棄却 「パワハラ」主張も該当せず

京都地裁

 京都大iPS細胞研究所に所属していた元教授のメールを無断閲覧したなどの理由で懲戒解雇処分になったのは無効として、元職員の女性が京大を相手に、職員としての地位確認と慰謝料など計約2千万円を求めた訴訟で、京都地裁(齋藤聡裁判長)は、女性側の請求をいずれも棄却した。

 判決によると、女性は2007年から京大と雇用契約を結び、当時同研究所に所属していた元教授の研究室で働いていたが、20年3月に懲戒解雇処分となった。齋藤裁判長は判決理由で、女性が元教授のパソコンでメールを閲覧した行為や、別の研究者の論文不正に関する機密書類を引き出しから持ち出してスキャンし、女性が使うパソコンに保存した行為は、大学の規則上の懲戒事由に該当すると認定した。

 また、女性側は元教授からのパワハラがあったと主張していたが、判決ではパワハラに該当しないとした。一方で、女性が研究室にカメラを無断設置したことなど、一部の行為は懲戒事由に当たらないとした。判決後に会見した女性は「このようなやり方で解雇できると思ってほしくない」と話し、控訴する方針を示した。京大は「本学の主張が認められたものと理解している」とコメントした。

© 株式会社京都新聞社