「グミせんべい」に学ぶローカル私鉄の生き残り策 一畑電車で銚電グッズ

島根県松江市と出雲市を結ぶ一畑電車では、コロナ禍による乗客数減少もあり、収入確保を目指しグッズ販売に力を入れています。
今年に入ってコラボしているのが千葉県の銚子電鉄ですが、このほど新しい商品が
加わったということです。

慢性的な赤字経営が続く銚子電鉄を支えているのが『ぬれ煎餅』です。
焼きたての煎餅を特産の醤油に浸けて軟らかく仕上げた菓子で、それらの売り上げで鉄道を維持しているため、「うちは食品メーカー」と社長が自虐ギャグを飛ばすほどです。

ローカル私鉄同士の協業の一環として、一畑電車でも松江しんじ湖温泉駅と出雲大社前駅の売店で銚子電鉄グッズが販売されています。

入江直樹 記者
「野津さん、銚子電鉄のグッズ、かなり売れてるんでしょうか?」

一畑電車営業部 野津昌巳 部長
「実際にこのぬれ煎餅等は、かなり好評を頂いてまして。我々の方も追加注文させて頂いている所なんです。」
「ただ今回、銚子電鉄さんから、この商品、売ってくれないかということで実は申し入れがありまして。」

野津部長が棚の商品を指さします。
入江記者
「『グミせんべい』ですか。変わった名前ですね?」
見た目は黄色で軟らかなグミそのものですが、口に含んだ入江記者は神妙な顔つき。

入江記者
「最初はちょっとフルーツの味がして、そのあと、口の中に残るのが、ぬれ煎餅ですね。」
野津部長
「結局、ぬれ煎餅なんです。」

銚子電鉄が岐阜県の第三セクター、長良川鉄道と、コラボして生み出したぬれ煎餅にゆずを合体させた摩訶不思議なグミです。

野津部長
「面白い商品作られるなと。新たな商品を作り出すっていうその姿勢には、やっぱり我々も学ばなきゃいけない所があると思います。」

一畑電車もグッズ開発に熱心に取り組んでいて、最新の商品はレトロ電車の「ばたでん」をパッケージにした日本酒です。
利用客増加を狙って、この春、初めて運行したおでん電車へのお酒提供が縁で沿線の酒造会社とコラボしました。

野津部長
「コロナ前の需要までは、なかなかお客様が戻ってないという所も踏まえて、どういう形で収入を増やして行くかと。皆さんがちょっと面白がってもらえるようなもの、あるいは新たな『あっ、こんなものがあるんだ』という、ある種、驚きをちょっと加味しながらの商品とか、そういうものが創って行けたら良いなと。」

一畑電車では、コロナ禍前に比べ観光利用は戻って来ているものの、少子化で今後も通学利用は減り続けると見ていて、鉄道以外の収入源確保を狙います。

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