劇団おぼんろ「聖ダジュメリ曲芸団」作演出 末原拓馬 稽古場レポート

劇団おぼんろ第24回本公演『聖ダジュメリ曲芸団』が5月30日よりLIVEエンターテインメントビル「Mixalive TOKYO」(東池袋)内「Theater Mixa」にて上演される。只今、稽古真っ只中。

いきなり余談だが、劇団のロゴにある漢字は「朧」。漢字検定1級レベルの漢字だが、日本文学の古典によく現れていた漢字。読める方は“おぼろ”と読めるとのこと。“おぼろ月夜”と昔の人々は云った。ぼうっする、はっきりしないという意味だそう。劇団名は“おぼんろ”だ。

さて、数多くの物語を紡いできた劇団おぼんろは、国内外で高い評価を得ており、`23年6月にはモルドバ共和国で行われる国際演劇祭への招聘上演が実施。4回のスタンディングオーベーションを受けなど大変高い評価を得ている。海外での注目が高まる劇団おぼんろが客演とともに織りなす儚くも美しい物語の新作『聖ダジュメリ曲芸団』。

劇団おぼんろは大人のための寓話を紡ぎ出すことを特徴とし、その普遍性の高い物語と独特な舞台演出技法によって注目を集めてきた。主宰の末原拓馬の路上独り芝居に端を発し、公演があれば約4000人の観客が劇場に押し寄せる劇団に成長している。抽象舞台を巧みに用いるおぼんろは廃工場や屋形船、オリジナルの特設テントなど様々な場所でも公演を行い、どんな場所でもまるで絵本の中に潜り込んだようなエンターテインメントを紡ぎ出してきている。野外での特設テントでの上演や、サーカスパフォーマンスとの融合にも挑戦し、`23年に3階建ての特設劇場にて上演された『ゲマニョ幽霊』はモルドバでの演劇祭へ招聘され、高い評価を得た。

あらすじ
昔々、はたまた未来か、あるいは現在か・・・
貧しい街の片隅では、今日も聖なる害虫たちのサーカスが繰り広げられております。
生まれながらにして一族を失い、自らの寿命もさほど長くないと知ったダニの「イイワケ」は、短くも輝かしい一生を夢見て座長に仕えることにしました。一座は街の害虫駆除計画のための税金を支払うために、日夜必死でお金を稼ぐのです。
社会から取り残され害虫サーカスを始めた貧しい2人の、税金を取り立てる町役人、イイワケと共に大虐殺から逃げ延びた虚弱体質のダニ、先輩芸虫である職人気質のノミたち、そんな彼らを蔑み嫌い、いつか人間たちを駆逐してやろうと心に決めているマダニの兵隊。一座の害虫たちの報酬がわりに飼われている血吸わせ猫・・・個性豊かな命がけの登場人物たちが織りなす、童話的な叙情悲喜劇。聖ダジュメリとは? 物語は思わぬ方向に進み続け、そして終わらない終わりを迎えていく。

稽古場取材レポート
観客を入れての公開稽古。末原さんと共に出演者全員が公演Tシャツでステージに賑やかに現れる。突然、劇中歌!?の歌の稽古。歌詞を末原は皆に口頭に伝え、ペンで歌詞を書き取り、そのまま、キーボードを末原が弾き始め、口移しで歌を伝え始める。既に作ってきている曲を稽古をしながら歌の手直しも出演者としてゆく。この公演はミュージカルでなくこれは“ムージカル”だと冗談を交えながら、観客と交流しながら進めていく。台詞が歌に続いて入っていき、末原のイメージが共演者と共有されてゆく姿が見られた。

そのうちに、名場面だというシーン(実は冒頭だった様だ)の稽古が始まり、続くシーンがリハーサルされてゆく。笑は耐えないが、ひとつひとつ芝居が紡ぎあげられてゆく。末原の芝居つくりの一部が垣間見ることができる、貴重な公開稽古だ。

稽古終わりにご挨拶。そして、なんと来場者からの質疑応答の時間もあり、いくつも質問が飛ぶ。好物は?、喉が渇いた時は?、遠慮なく次から次と出る。本番前のルーテーンは?、アクリルスタンドはないのか? の質問には壇上も見学者も大きな笑いに包まれた。

今回の劇団おぼんろの舞台も、やはり期待大になることを確信し、稽古場として提供された東京郊外にあるドルトン東京学園の講堂(とても美しい!)を後にした。

<末原拓馬インタビュー記事>

概要
劇団おぼんろ 第24回本公演『聖ダジュメリ曲芸団』
日程・会場:2024年5月30日(木)~6月9日(日) Mixalive TOKYO Theater Mixa
作・演出:末原拓馬
出演
井俣太良(少年社中)
織部典成
佐藤たかみち
塩崎こうせい
横井翔二郎 (以上、五十音順)
さひがしジュンペイ
わかばやしめぐみ
高橋倫平
末原拓馬 (以上、おぼんろ)
主催:劇団おぼんろ/講談社/ホリプロインターナショナル/ローソンエンタテインメント
問合:obonro.info@gmail.com

公演HP:https://www.obonro-web.com/dajumel

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