滝本、卯辰組幹部ら逮捕 金沢の禁止区域に事務所疑い

  ●暴力団排除条例違反 県警、復旧工事関与も捜査

 金沢市内の禁止区域に暴力団事務所が開設された事件を内偵していた石川県警組織犯罪対策課などは14日、県暴力団排除条例違反の疑いで、同市内の指定暴力団山口組滝本組、卯辰組の幹部ら複数人を逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。県警は組事務所の捜索などで差し押さえた資料を基に、能登半島地震の復旧工事に暴力団の関与がないかを含めて調べる。

 捜査関係者によると、滝本、卯辰組の幹部らは共謀し、昨年ごろから、金沢市内に卯辰組の新事務所を設けた疑いが持たれている。この建物は、県暴力団排除条例で暴力団事務所の新設が禁止されている区域にあり、滝本組が卯辰組に場所を提供したとみられる。

 卯辰組は白山市内に事務所を構えていたが、滝本組が管理していた建物に事務所を移し、活動拠点にしていた可能性があるという。

  ●19年に規制強化

 県暴力団排除条例は2019年に改正され、規制が強化された。「学校や公民館、図書館などの周囲200メートル」だけだった暴力団事務所の新設禁止区域に「都市公園の周囲200メートル」「住居・商業・工業系用途地域」が加わり、金沢市内はほぼ全域が対象となった。

 2022年末時点で、県警が把握している暴力団は9組織で、構成員、準構成員は計約180人。いずれの組織も山口組2次団体の一(はじめ)会(大阪市)傘下の3次団体となっている。

 県警によると、2011年の東日本大震災後には、暴力団が仮設住宅の建設現場での違法な労働者派遣に関与したケースがあった。能登半島地震の復旧工事のほか、北陸新幹線県内全線開業のにぎわいを狙って暴力団の動きが活発化する可能性もあり、県警は警戒を強める。

© 株式会社北國新聞社