舞台照明で「映え」 氷見・お菓子の美術館 渡辺さんの世界観表現

照明で海の中にいるような空間を演出している=氷見市芸術文化館

  ●水面、木漏れ日…陰影

 氷見市芸術文化館で開催中の「お菓子の美術館~渡辺おさむスイーツアートin氷見~」(富山新聞社、北國新聞社主催)は舞台ホールの照明を駆使し、現代美術作家の渡辺おさむさんの世界観を引き立てている。「水族館」や「動物の森」では水面や木漏れ日を表現し、陰影を楽しめる写真スポットの仕掛けなど工夫を凝らすことで「映え」の魅力が増しており、新たな発見と楽しみでリピーターも増えている。

 会場では氷見市在住の照明プランナー田中真琴さんが、渡辺さんと相談して作品に照明を当て渡辺さんの世界観を演出している。

 入り口周辺の「お菓子の泉」では、光の反射で陰影を楽しめる仕掛けが施されている。渡辺さんが描いた波紋が写りこみ、タツノオトシゴや女性の後ろ姿などにも見えて想像力をかき立て、舞台照明の面白さを伝えている。

 お菓子で海の生物が暮らす「お菓子の水族館」では、高さ6メートルの舞台照明を使って床にゆらゆらする水面を表現。青い色を変えながら海の中に入り込む感覚が楽しめ、渡辺さんは「この会場でしか表現できない技術で世界観に没入できる体験を楽しめる」と話す。

 お菓子の動物が並ぶ「お菓子の森」では、緑色を基調に床は木漏れ日を演出する。犬小屋に光を当て、かわいい犬を引き立て写真スポットにもなっている。

 食卓がスイーツで彩られる「お菓子の宮殿の晩餐会」では、作品に当てる照明を若干落とし、シャンデリアの影にならず、テーブルの内側からライトアップして写真に収まる人の顔が暗くならないよう配慮してある。背景の窓も少しずつ色が変わる仕掛けもある。

 お菓子で装飾を施された木馬のメリーゴーランドではパステルカラーが特長の作品に合わせ、青や黄、ピンクなど照明で作品を際立たせ、時間ごとに楽しませる工夫を凝らした。

  ●リピーター200円引き

 世界の名画や彫刻をスイーツで表現する「お菓子の美術館」でも、いろいろな角度や距離から照明を当てて立体作品の魅力が増している。田中さんはエリアごとにがらりと雰囲気を変えるようにし「来るたびに新しい発見があるので、何回も来てほしい」と呼び掛けた。氷見市芸術文化館によると、一般に限ってリピーター価格として、一般入場券の半券を持参すると通常1200円の観覧料が1千円となる。

テーブル内側の照明が記念撮影の来場者の顔を明るく照らす

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