災害関連死30人を初認定 死者計260人、さらに大幅増へ

  ●県、市町合同審査

  ●少なくとも120人超申請

 能登半島地震後に亡くなった人を災害関連死とするかどうかを判断する初の審査会が14日、石川県と関係市町の合同で開かれ、35人を審査し、うち30人を関連死と認定した。地震による犠牲者は直接死の230人と合わせて260人となる。北國新聞社の取材によると、七尾以北の6市町では14日現在、少なくとも120人超の遺族が関連死として認定するよう申請しており、審査が進むにつれ地震の死者はさらに増えるとみられる。

 審査会は非公開で、県によると、委員の弁護士3人と医師2人が出席。2016年の熊本地震や18年の西日本豪雨など過去の大規模災害を参考に検討した。

 初回に関連死と認定された30人の内訳は、輪島市9人、珠洲市14人、能登町7人。審査会が近く各市町に答申し、首長が正式決定する。氏名は遺族の同意が得られれば公表する予定で、性別や年齢・年代、亡くなった経緯などは市町が発表する。

 14日に関連死に認定されなかった5人は全員が珠洲市で、いずれも委員が追加資料の提出を求めたため、次回以降に再審査することとなった。今後は月1回ペースで開催する。

 県はこれまで、市町の報告を基に「直接死」を230人、「関連死疑い」を15人と公表していた。県によると、この15人についても遺族からの申請があれば審査を行う。一部は14日に認定された30人に含まれるという。

 初回の審査結果を受け、泉谷満寿裕珠洲市長は「あらためて犠牲者の冥福を祈りたい。速やかに認定手続きを進める」と述べた。県に合同審査を要請した坂口茂輪島市長は「市単独では審査委員の確保が難しかった。県の対応に感謝したい」と語り、大森凡世能登町長は「審査に基づき、すぐに手続きに入りたい」と話した。

  ●珠洲の申請「二十数人」

 北國新聞社が14日、県内19市町に取材したところ、関連死申請数は輪島市53人、能登町18人、七尾市14人、志賀町10人、穴水町7人だった。珠洲市は関連死の申請数を公表していないものの、関係者は「二十数人」としており、合計すると、少なくとも123人を上回るとみられる。これに加え、各市町には関連死の申請に関する新たな相談が寄せられている。

 16年の熊本地震では、熊本県での関連死申請が722人分あり、このうち約3割に当たる218人が認定された。認定者の約8割が70代以上で、原因別では「地震のショック、余震への恐怖による負担」(40%)、「避難所生活の負担」(29%)、「初期治療の遅れ」(16%)が目立った。

 ★災害関連死 地震による建物の倒壊や津波などが原因で亡くなる「直接死」とは別に、避難生活の疲労や環境変化のストレスなどから体調が悪化して亡くなり、災害が原因と認められるもの。車中泊などで長時間同じ姿勢を取ることで血栓ができて死亡する「エコノミークラス症候群」のほか、自殺も含まれる。自治体の審査で認定されれば、災害弔慰金支給法に基づき遺族に最大500万円が支給される。

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