【阪神】佐藤輝明 打撃も守備も苦境続き…岡田監督のボヤき復活は〝危険シグナル〟か

チームは2位ながら、調子が上がっていない阪神・佐藤輝明

阪神は14日の中日戦(豊橋)に2―4で敗れ、首位の座から陥落。守りのミスでゲーム終盤にスコアを引っ繰り返される痛恨の試合内容で、逆転負けを喫した。

2―1と1点リードで迎えた8回無死二塁。打席に入った田中の犠打を捕手・坂本が素早く好捕し、三塁へストライク送球したものの、佐藤輝明内野手(25)が痛恨の捕球ミスで落球。本来ならば一死一塁にできるところを、無死一、三塁と逆にピンチを拡大させてしまった。マウンド上の先発・村上もここから一気に崩れ3失点。防御率1・30と圧倒的な数字を残しながら、2勝3敗と黒星が先行する結果に終わってしまった。

「アレで終わりよ」と試合後に振り返った岡田彰布監督(66)の語尾からは背番号8に対する怒りよりも、失望感とあきれが強く漂う。「もう(佐藤輝の話題は)ええ、ええ。キャッチボールやからな」と冷淡に突き放した上で「そらあんなプレーばっかり出るんやから。村上の時いくつエラーしたんや」とバッサリ切り捨てるしかなかった。

2022年秋の第2次政権発足以降、事あるごとに佐藤輝に苦言を呈し続けてきた岡田監督だが、今春のキャンプ以降は虎の規格外男に対する厳しいコメントはめっきり減り、その成長と取り組みを認めるような発言も増えていた。開幕以降、打率1割台の長い打撃低迷に落ち込んでもスタメン出場の機会を辛抱強く与え続け、復調を待ってきた。だが、指揮官の我慢も、そろそろ限界なのかもしれない。

打率2割9厘はセ規定到達打者で28人中27位。最大の持ち味である本塁打も、ここまで35試合に出場しながら「3」と物足りない数字しか残せていない。その一方で失策数はリーグトップタイの6。記録に残るミスだけでなく、ここ数試合は集中力を欠いたようにも見える走塁ミスを繰り返してきた。単に打てないだけでなく、指揮官がナインに最も強く求める〝普通の野球〟を遂行できていない点が、何よりも印象を悪くする。

チーム全体の失策数もこの日、ついに12球団最多となる24にまで伸びた。失策の数そのものは問題視せず「アウトにできるものを確実にアウトにすること」「敗戦につながるミスをしないこと」の大切さを強調してきた指揮官だが、この日は記録に残るミス、残らないミスの双方が敗着となった。

球団史上初となる連覇を目指す岡田虎だが、一進一退のもどかしい季節が続く。

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