中村梅枝を襲名する小川大晴くん、8歳で習い事は「プールと英語と、野球と、乗馬」

取材会に出席した小川大晴くん

祖父も父も称賛「度胸がすわっている」「物怖じしない」

歌舞伎俳優の中村時蔵、中村梅枝、小川大晴(ひろはる)が13日、東京・中央区の歌舞伎座稽古場で行われた歌舞伎座『六月大歌舞伎』の合同取材会に出席。時蔵と梅枝が、8歳の大晴くんの成長ぶりや習い事事情を語った。

この六月大歌舞伎で、時蔵が初代中村萬壽(まんじゅ)を、時蔵の長男・梅枝が六代目中村時蔵を襲名する。また梅枝の長男で8歳の大晴が五代目中村梅枝として初舞台を踏む。時蔵は萬壽襲名披露狂言として夜の部『山姥』に山姥役で出演。孫の大晴も同演目で怪童丸(後に坂田金時)を演じる。梅枝は時蔵襲名披露狂言として、昼の部『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)三笠山御殿』で大役・お三輪を演じる。

大晴くんは、「五代目中村梅枝を襲名することになりました、よろしくお願いします」とあいさつ。祖父の時蔵、父の梅枝ともに女方として活躍しているが、大晴くんは『山姥』で後の金太郎となる怪童丸を演じる。時蔵は「孫は女方が大嫌いで、立ち役が好き。それも立ち回りや見得がしたい」と明かし、「見得がなかなかうまいんですよ。怪童丸は実は金太郎で、猪や熊と相撲をとる力持ちなので、ちょうどいいかなと思って選びました」と語った。大晴くんも「かっこよく演じたいです」と照れながら語った。

時蔵は、言葉少なめな孫の様子について「今は何もしゃべらないし、モジモジしていますが、舞台だとハッキリしている。本番に強い」と説明。「(2020年の5歳での)初お目見えの時に、『毛谷村(けやむら)』で(片岡)仁左衛門のおじさまとご一緒させていただきましたが、その時から度胸がすわっているというか」と振り返り、「初日から『ママがどこの席にいた』とか、見えている。六月興行もやってくれると思う」と期待した。

また、大晴くんが「稽古嫌い」ということも明かし、「これから、稽古も大事だと教えていく。ダメ出しはたくさん言うと頭がパンクするので、重要なところだけ伝えていますが、それを必ず克服する。『意見を聞く、直せる』という能力は、大事なところだと思います」と称賛した。父の梅枝も、「本番に強いのは、同じ役者としてもうらやましいですね」と語り、「子どもさん、皆さんそうなのかもしれないけど、物怖じしないでいられる。伝えたことがパッと直る。舞台上でも冷静です」と息子の様子を明かした。

報道陣から、現在やっている習い事について聞かれた大晴くんは、「えーっと、プールと英語と、あと野球と、乗馬と……」と次々に習い事を回答。時蔵が「一番肝心な踊り(日本舞踊)が……。踊りって言ってくださいよ」と苦笑いすると、梅枝が代わりに「それと日本舞踊です」と答え、会場を笑わせた。

時蔵は「どの伝統芸も、基礎が大事なんですね」と語り、「歌舞伎をやるのに必要な基礎は、特に日本舞踊。大晴は今はたいしたお稽古はしていませんけど、将来は『プロ野球選手になる』かもしれませんが(笑)、その前に、基礎だけは修行させています」と説明。1月に行われた歌舞伎座『六月大歌舞伎』の記者会見の場で、大晴くんは「僕は役者になりたいっていうか、プロ野球選手になりたい」と発言。巨人の坂本勇人が好きで、「坂本選手みたいになりたい」と本音を明かしていた。

梅枝も、「基本的なことの中に、日本舞踊や所作、声の出し方が詰まっている。基礎ができていればどの道に行っても戻ってこられるので、それだけは大事にしてほしい」と語り、「野球をやる上でも、球を投げるのだってフォーム(の基礎)は大事でしょ」と、息子に呼びかけた。ENCOUNT編集部

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