「今季MLBは “侍” の1年」大谷翔平60本HR、今永昇太は防御率0点台…“三賢者” が「日本人選手で10冠」確信

例年は6月から調子を上げる大谷だが、今年は5月から絶好調という、ロケットスタートだ(写真・共同通信)

今年は全野球ファンにとって、幸せな1年になる――。

5月11日(日本時間)時点で、大谷翔平は、ナ・リーグ内でOPS(1.103)、打率(.359)、安打数(56安打)で、1位に輝いている。

「メジャー在籍の過去6年と比べても絶好調で、シーズン48本塁打ペース。得意の6月に “爆発” すれば60本も夢じゃない」(現地紙記者)

さらに、現地で驚きをもって迎えられているのは、今年DeNAからポスティング移籍でカブスに加入した、投手の今永昇太(30)だ。

「山本由伸が、12年約463億円という巨額契約をドジャースと結んだことで陰に隠れていましたが、今永はものすごい結果を出しています。10日時点で、7試合5勝0敗。防御率は1.08で両リーグトップです。現地では、4年約77億円という契約は『泥棒レベルの安さだ』という声が上がるほど。このまま好投を続け、防御率0点台という偉業に期待したいですね」(同前)

早計だが、やはり気になるのは今季のタイトル争い。終わってみなければ結果はわからないが、誰よりも厳しい目でMLBを見てきた “三賢者” は、揃って「2人で10冠は堅い」と断ずるのだ――。NHK BSの解説でお馴染みの武田一浩氏はこう語る。

「今永は、なによりもストレートがいい。球速は150km前後ですが、回転数が毎分2500近くと、メジャートップクラスなんです。そのスピンが効いたストレートを内外角の高めに投げ込まれると、打者はまるで球が伸び上がってくるように感じるんです。新人王は、今永か山本でしょう。今後も中4日のローテーションを守っていけば、サイ・ヤング賞も見えてきますね」

野球解説者の新井宏昌氏は、防御率に注目している。

「最多勝は、打線が強力なドジャース・山本のほうが有利かもしれません。今永は、防御率が非常にいいので、最優秀防御率を狙えるでしょう。ただ、多くの日本人投手がメジャーで肘を痛め、手術を受けています。野茂英雄さんによると『ボールが日本と比べてやや大きく、最後のひと押しで力を入れないと、いい球が行かない』そうです。それが後々肘に来るそうで、怪我には注意してほしいです」

一方、大谷はどうか。

「開幕当初は、打つべき球を見逃して、追い込まれてからの三振が多かったですね。でも、今は初球からホームランを打つなど、完璧な打撃ができています。しかも左投手に対し、逆方向にも打てています。このまま行けば、三冠王(本塁打王、打点王、首位打者)はもちろん、エドガー・マルティネス賞、シルバースラッガー賞、そしてOPSでもトップになるでしょう」(新井氏)

だが鬼門となるのは、大谷が2021年と2023年に二刀流で受賞したMVPだ。メジャーリーグアナリストの福島良一氏はこう解説する。

「大谷は今季DHに専念する予定ですが、過去にDH専門の選手がMVPを獲得したことはありません。現時点での最有力候補は、大谷の同僚であるムーキー・ベッツです。彼は打撃だけでなく、今季は外野からショートに転向し、素晴らしい守備を披露しています。

でも、大谷が三冠王に加えてOPSなどで記録的な数字を残せれば、MVPも十分獲れると見ています。今季のMLBは、“侍” の1年になりますよ。大谷や今永だけでなく、各チームのカギを握る主力に日本人が多くいる。まさに歴史的なことですね」

日本人がタイトル総ナメとなれば、“憧れを捨て” られそうだ。

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