【日本ハム】新天地で勝ち星量産するFA左腕・山崎福也の決意「自分の投球でチームを勝利へ」

日本ハム・山崎福也

FA左腕が新天地で快投を続けている。昨オフにオリックスから日本ハムに移籍した山崎福也投手(31)が、14日の西武戦(エスコン)で4勝目を今季2度目の完投で飾った。まさにチームをけん引する原動力となっているが、その胸の内には積もり積もったある思いが秘められている。

ここまでの大活躍はやはり予想外ではないか。多彩な変化球を操り、緩急をつけた投球で相手を翻弄。最後までマウンドを譲らず、137球を投げ抜いた。

「疲労感はありますけど、うれしい疲労感ですね。今日はヒットを打たれていましたし『大丈夫かな』というのはあった。でも(捕手の伏見)寅威さんの真っすぐのサインを出すタイミングが良くて。そこで助かったケースはありましたね」

試合後はこう相棒をねぎらった山崎だが、これで自身4連勝だ。開幕から登板全試合でクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)をマークするなど勢いが止まる気配はない。

プロ9年目の昨季、初めて2桁勝利(11勝)をマークしたが、今季はそれをも上回る可能性は十分ある。なぜ31歳の左腕は勝ち星を量産できているのか。その裏には開幕前から胸に秘める強い決意が大きい。

今春のキャンプ前に新天地の1年目にかける思いを直撃すると「規定投球回を投げたいことや防御率を良くしたい気持ちはもちろんあるんですけど…」と話した上で、積年の思いをこうぶちまけた。

「プロ生活は長いのに、まだ僕は昨年1シーズンしか大した成績を残していない。しかも2桁勝利したと言っても、僕の中では(オリックスの)打線の援護があってのことだと思っているので。だから、昨年の結果には何も満足していないというのが正直な気持ちなんです」

昨季終了後、自らFA宣言するとセ・パ6球団が札束を積んで獲得に名乗りを上げた。この争奪戦に本人は各球団の高評価に感謝しながらも「そこまで結果を残していないのに…」という複雑な思いもあったという。

「だからこそ今年は自分の投球でチームの勝利を導けるようにしたい。そこは忘れずにやっていきたい。そのために成績を残さないといけないという責任感みたいなものもありますしね」

昨シーズンの好投が決して偶然ではないことを自らの力で証明する。このモチベーションこそが今季の継続的な活躍の支えなのだろう。

今年9月で32歳となるが「僕はできる限り長く野球をやりたい。40歳になってもいい成績を残せるように。そのためにはチームが勝てる質のいい投球を常に心掛けないといけない」。強い信念と覚悟は発展途上の若いチームにとって心強い存在となりそうだ。

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