【夏場所】大の里〝快進撃〟に恩師も太鼓判 進学、部屋選びでも見せていた「芯の強さ」

小結昇格後も堂々とした取り組みが続く大の里

恩師もお墨付きを与えた。大相撲夏場所3日目(14日、東京・両国国技館)、新小結大の里(23=二所ノ関)が幕内翔猿(32=追手風)を力強く寄り切って2勝目(1敗)。取組後は「勝てて良かった。一日一日、確実に頑張りたい」と気持ちを引き締めた。初日には横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)を撃破。大器の実力を証明する一方で〝心の強さ〟も折り紙つきだ。

大の里は新潟・糸魚川市の能生中と海洋高相撲部で、田海哲也総監督の指導を受けた。恩師は「すごくメンタルが強くて『自分のやれることは決まっている』と前に出る。変わったり、小手先の相撲はしない」と太鼓判を押す。

大の里の信念の強さを示す逸話がある。周囲では高校卒業後のプロ入りを望む声もあったが、本人の意思で日体大進学を決断。大学卒業前には関取衆が多数在籍する名門部屋への入門を勧める意見もある中、独立して間もない二所ノ関部屋を自ら選択した。

田海氏は「(周囲から)『(別の部屋のほうが)関取が多いから練習相手がたくさんいていいんじゃないの』とか…。だけど、大の里は全然迷いなしで『二所ノ関に行きたい』と。進路を相談してくる子が多いけど、大の里は違った」と証言した。

先の春場所では、千秋楽まで優勝争いに絡む活躍を見せた。今場所も横綱大関陣に休場や格下への取りこぼしが相次ぎ、賜杯を抱くチャンスは十分。田海氏は「もし優勝したら教え子としては初めて。優勝争いに乗っかるだけでも幸せ。一喜一憂せずに、今は経験を積んでいけばいい」とエールを送った。

今場所の番付発表前、大の里も田海氏について「すごくかわいがってもらった。強制せずに自由に相撲を取らせてもらって感謝しかない」と頭を下げながらも、キャリア選択には「自分の人生なので、誰も決めようはない」と自ら切り開いてきたことを強調した。信念の男が新三役の場所でいきなり主役に躍り出る可能性も十分だ。

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