上場ゼネコン大手4社/24年3月期決算、全社増収も3社減益

◇利益確保と働き方改革両立へ
上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2024年3月期決算が14日出そろった。豊富な建設需要を背景に全社が手持ち工事が順調に進捗し増収。一方、本業のもうけを示す営業利益は鹿島を除く3社が前期を下回った。物価高や労務の逼迫(ひっぱく)などで施工体制が厳しく、4月に適用された時間外労働上限規制を順守する必要もある。各社とも採算重視の受注活動をさらに徹底していく方針だ。
連結売上高は、鹿島と大林組が過去最高額を更新。国内工事の順調な進捗に加え、鹿島は物件の売却、大林組は北米子会社の大型工事の進捗も主な要因となる。大成建設は土木工事や開発事業などで増加。昨年連結子会社化したピーエス三菱の実績も上積みされた。
連結営業利益は大林組と清水建設、大成建設が前期に比べ減少。清水建設は経常利益とともに上場以来初の赤字。大型の民間建築工事を中心に資材高騰などが響いたほか、工事損失引当金を大きく積み増し損失につながった。大林組は国内土木や海外建築子会社の手持ち工事の大幅な利益改善が寄与したが、人件費や研究開発費の増加に伴い販管費も増え減益となった。
単体の完成工事総利益(粗利益)率は、鹿島がやや下がったものの4社唯一となる2桁を確保。大林組や大成建設も前期を下回り、清水建設はマイナスとなった。単体受注高は全社が前期を上回った。
25年3月期は連結業績で鹿島と大林組、大成建設が増収を見込む。上限規制への対応では、受注提案で適正なコストとともに工期の確保にもこだわる。「上限規制や取引業者の供給網(サプライチェーン)の問題もありどの会社も工期ダンピングはできない」という声も上がっている。施工体制に考慮しつつ、利益確保と働き方改革の両立が求められる1年になりそうだ。

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