雨の日はプロでも難しい…ミスの誘発条件てんこ盛り スコアをまとめるのは謙虚な心(羽川豊)

レインウエアでプレー(大会2連覇で喜ぶ岩井千怜)/(C)共同通信社

【羽川豊の視点 Weekly Watch】

最終日が雨となった前週の国内女子ゴルフは、岩井千怜(21)が連覇を達成しました。この日は67の好スコアでしたが、「雨の影響なのかドライバーが左に曲がることが多かった」と語っていました。ローズ・チャンが最後のバック9で大逆転劇を見せた米女子ツアーも、午前中は雨に見舞われました。

今年も5月下旬以降、日本列島は九州から順次梅雨入りします。これからはプロ、アマ問わず、雨の中でプレーする機会が多くなるでしょう。

私は13日、雨と強風下でプレーしましたが、昔から雨は大嫌いです。

プロはクラブを握ったとき、手の感触を大事にします。グリップが濡れていると切り返しの瞬間、グローブの中で、ズルッと滑ることがあります。スイング前からそれを気にすると、無意識に利き腕の力がまさり、インパクトが強くなり、ボールがコントロールできないからです。

岩井が左へ曲げたのは、そのような理由から、右腕が強くなったことが原因ではないか。

そもそも雨の日はレインウエアを着て体は回りづらいし、傘をさしたり、グリップを拭いたり、晴天の日にはない作業が多くなり、プレーのリズムが悪くなる。スイングも早くなりがちで、フェアウエーに着弾したボールは転がらず飛距離は落ちるので、第2打で持つクラブは長くなる。ミスしやすい条件がこんなに重なります。

雨の日は「力みと打ち急ぎ」がミスを誘うとわかっているプロでも失敗を繰り返すわけですから、アマチュアの皆さんならなおさらです。

そこで雨の日は、謙虚な気持ちでプレーすることをお勧めします。飛距離欲しさにクラブを振り回すことはせず、アドレス前から「ゆっくりなスイング」を意識する。アドレスに入ったら「いつもの7~8割の距離でいい」と割り切ります。距離を抑えたスイングによりフェアウエーに置ける確率は上がります。

これからの時季はラフも成長し、水分を含めば重くなり、ショートアイアンでもクラブの抜けは悪くなる。ピンまで130ヤードのラフより150ヤードあってもフェアウエーからの方が距離を合わせやすく、グリーンキャッチも容易です。

付け加えれば、悪条件が重なる雨の日は、なるべくストレスを減らして1番のティーイングエリアに立ちたいものです。レインウエアはもちろんのこと、手や顔を拭くタオルを最低2枚、グリップが滑らない雨用の合皮グローブをキャディーバッグに入れておくべきです。

雨の日は「準備」と「謙虚さ」でスコアをまとめましょう。

(羽川豊/プロゴルファー)

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