新・NMB48の注目すべき点は? 10年ぶり公演で圧巻のパフォ

大阪を拠点に活動するアイドルグループ・NMB48の約10年ぶりとなる新オリジナル公演『天使のユートピア』が5月14日、「NMB48劇場」(大阪市中央区)で開催された。2023年末には多数のバラエティ番組に出演するなど抜群の知名度を誇った渋谷凪咲がグループから卒業。そういった部分でも同公演は、新たな世代の台頭が望まれる重要な公演となった。

取材・文/田辺ユウキ

5月14日公演「天使のユートピア」より©NMB48

■ 新時代を築く…みなぎる「グループの意思」

5月14日公演「天使のユートピア」より©NMB48

NMB48の新オリジナル公演は、2013年11月のチームNによる3rd Stage『ここにだって天使はいる』公演以来。メンバーが理想郷を目指して挑戦する様子、未来を描く姿をイメージして『天使のユートピア』というタイトルがつけられた。

初日は安部若菜、泉綾乃、瓶野神音、川上千尋、小嶋花梨、坂田心咲、桜田彩叶、塩月希依音、上西怜、新澤菜央、出口結菜、芳賀礼、山本望叶の13人編成で、「NMB48メドレー」を含む17曲をパフォーマンス。1曲目『OUR STORY』から「新時代を築く」というグループの意思がはっきり見えた。

1曲目のセンターポジションに立ったのは、18歳の塩月希依音。塩月と言えば2018年、当時12歳でドラフト3期生としてお披露目。同年8月23日におこなわれた『NMB48 LIVE TOUR 2018 in Summer』の福岡公演では、急遽出演が決まったにもかかわらず堂々とパフォーマンスをしてみせ、当時のエースだった山本彩がTwitter(現・X)で「恐るべし12歳・・・」と絶賛したほどの「逸材」だ。

同曲中盤からは、5月22日にリリースされるシングル曲『これが愛なのか?』で塩月とダブルセンターを担う8期生(2022年お披露目)の18歳・坂田心咲もパフォーマンスの中心に。新生NMB48としてのアピールが求められ、さらに10年半ぶりとなる新オリジナル公演という晴れの舞台で『坂田・塩月体制』が披露されたのは、象徴的な出来事となった。

さらに2曲目『青い春よ』でも塩月がセンターでグループを牽引。MCでは塩月があらためて「なんとこの公演でセンターをさせていただきます。精いっぱいがんばります!」と意気込みを口にした。

■ フレッシュな面々が抜擢、歴代メンバーも作曲に携わり

5月14日公演「天使のユートピア」より©NMB48

もう一つトピックに挙げたいのが、同公演のキャプテンに19歳の泉綾乃、副キャプテンに16歳の瓶野神音というフレッシュな面々が責任あるポジションに抜てきされたこと。

泉は「近い未来、いつか泉綾乃が新公演で良かったって、安心できたって、みなさんにも、メンバーにも言ってもらえるような温かいキャプテンになりたい」と飛躍を誓えば、瓶野は「このなかでも下の期生で、後輩の私なんかが(先輩にアドバイスなどを)言っていいのかなって不安もあったんですけど、副キャプテンに選んでいただいたからには、この公演をより良くするために縮こまっていたらダメだなって。みんなのことを引っ張っていける存在になりたい」と頼もしいコメントを残した。

そんな若いパワーがみなぎる同公演。一方で、レジェンドのメンバーたちが書き下ろした曲が演奏されたのも見逃せないポイントに。

新澤、山本のデュエット曲『チュッてギュッてグッと』は、NMB48の1期生で現在は「ぶっ恋呂百花」名義で活動する木下百花が作詞・作曲・編曲を手がけた。これまでのNMB48にはない曲調で、新澤も「百花さんワールドが全開」と語った。楽曲終盤には新澤、山本の「誓いのキス」のシーンも。山本が「このリハーサル期間、ずっとキスしてた」と振り返ると、新澤は「(キスをすることを)気にして歯磨きばかりしてた」と照れ笑いを浮かべた。

「僕らはまだ」も1期生の山本彩が作詞・作曲(作曲は田中マッシュと共作)。作詞の制作には小嶋、塩月、坂田、芳賀も参加した。塩月は「(打ち合わせのとき)彩さんは私たちの想いを『うん、うん』と聞いてくださって、そそて『今のNMBも諦めずにきらきら輝いているね』って。そういう風にいってくださったことが(曲の中に)詰まりまくっています」と制作背景について触れた。

2025年には「大阪・関西万博」が開催されることもあり、NMB48も「大阪から世界へ」を合言葉に活動することに。泉は「ここからNMB48が新たなスタートを切って、大阪から世界へ羽ばたいていきたい」と力強く宣言した。

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