メリル・ストリープ、名誉パルムドール受賞で涙…半世紀にわたるキャリアで女優のあり方を変えた【第77回カンヌ国際映画祭】

第77回カンヌ国際映画祭開会式でのジュリエット・ビノシュとメリル・ストリープ - Stephane Cardinale - Corbis / Corbis via Getty Images

現地時間14日、第77回カンヌ国際映画祭開会式でメリル・ストリープ(74)への名誉パルムドール授与セレモニーが行われた。約半世紀にわたるキャリアをまとめたクリップ映像が流された後、メリルが登場すると観客は総立ちで拍手喝さい。2分以上続く熱烈なスタンディングオベーションを受けたメリルは、感激の面持ちで目に涙を浮かべた。

メリルはアカデミー賞では演技部門で最多となる21ノミネートという大記録を打ち立て、『クレイマー、クレイマー』『ソフィーの選択』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で3度受賞を果たした言わずと知れた大女優。プレゼンターを務めた女優のジュリエット・ビノシュが涙ながらに「あなたは映画界の女性に対するわたしたちの見方を変え、わたしたちが自分自身を違ったふうに見られるようにしてくれました」とその貢献の大きさに言及すると、メリルも一層感極まった様子だった。

そして「わたしにとって先ほどのクリップ映像を観るのは、新幹線の窓から自分の人生を観ているような感じでした。若い頃が飛び去って中年に、そして今現在ステージに立っているわたしに」と切り出したメリル。1989年に『A Cry in the Dark(原題)』でカンヌ映画祭に参加した時は(※メリルはその時女優賞を受賞した)、これだけ長く女優を続けられるとは思ってもみなかったといい、「35年前、カンヌ映画祭に初めて来た時、わたしはすでに3人の子供の母でした。40歳になろうとしていて、わたしのキャリアは終わったと思っていました。それは当時の女優にとって、非現実的な予想というわけではなかったんです」と今以上に高かった女優にとっての年齢の壁に言及する。

「わたしが今夜ここにいることができ、ここまで続けてこられたのは、わたしが一緒に仕事をすることができたとても才能のあるアーティストたちのおかげです。そして、わたしの顔にうんざりせずにいてくれた観客の皆さんのおかげです」と感謝し、「母はこう言っていました──彼女は大抵全てに関して正しかったのですが──『メリル、全ては本当に早く過ぎてしまうよ。本当に早く』と。本当にその通りでした。わたしのスピーチを除いては(笑)。ちょっと長すぎましたね」とにっこり。感動的な中にユーモアもあるメリルのスピーチに、会場はまた拍手喝さいとなった。(編集部・市川遥)

第77回カンヌ国際映画祭は現地時間5月25日まで開催

© 株式会社シネマトゥデイ