Aぇ! group、シングル『《A》BEGINNING』で待望のCDデビュー 音楽シーンをサバイブしていく“闘志”

2024年3月16日、京セラドームで開催されたファンミーティングにて、大きな感動と歓喜の中、5月15日にCDデビューすることを発表したAぇ! group。そんなAぇ! groupのデビューシングルのタイトルは『《A》BEGINNING』。これまで、言葉そのものや歌詞のシンクロ性も大切にしてきたAぇ! groupだからこその想いをたっぷり感じさせるタイトルだ。実際、タイトルの通り、歌詞を目で追いながら楽曲を聴くと、Aぇ! groupのこれからの決意と想いが込められているように感じる。この記事では、そんな『《A》BEGINNING』の感想を書いてみたいと思う。

表題曲である「《A》BEGINNING」の感想を単刀直入に言うと、アツい。歌詞の意味性が明白な部分もそうだし、サウンドの音色やボーカルの温度的にも、そう感じるのだ。実際、「《A》BEGINNING」には終始アッパーでエモーショナルな色合いを感じる。冒頭、美しいコーラスワークで威風堂々と楽曲が始まると、ミクスチャーテイストのエッジの効いたギターサウンドが響き渡り、高らかなボーカルで〈声をあげろ〉と歌い切っているからだ。かつ、その声を皮切りに、ロックなテイストとダンサブルな色合いを織り交ぜながら、楽曲が突き進んでいく様もかっこいい。力強いボーカルを響かせる一方で、スリリングなラップを披露するパートも巧みで、一曲の中に惜しみなくAぇ! groupの魅力を注ぎ込んでいる印象を受ける。

また、本作の特徴として挙げられるのが、アッパーでありながら、楽曲のテンポは抑えている点だ。これにより、個々のボーカルが紡ぐ歌詞が聴き取りやすくなっており、この楽曲に込められた未来への決意表明とシンクロするように楽曲を聴くことができるし、歌詞カードを見ずとも、言葉を追うように聴けるのだ。この歌、全フレーズが決意表明にも感じられる濃密さがあるけれど、サビの末尾のフレーズが〈俺から始めよう〉になっているのが印象深い。このフレーズで締めくくるからこそ、より熱さを感じることができる。サビでは、〈もう振り返らない〉〈裸足のまま走って〉〈もう一度 手を伸ばそう〉と、意志を感じさせるフレーズが挿入されていることも相まって、ここの楽曲を出発点にして、より良い未来を作り上げる予感をビンビンに感じることになるのだ。

そして、その強い想いは、作品そのものにも色濃く投影されていることをカップリング曲を聴くことで、よりダイレクトに体感することになる。

全シリーズに収録されている「Aぇ! LAND」は、デビュー前から培ったユーモラスでカラフルな色合いを全面に打ち出した、ワクワクのポップチューンになっている。「《A》BEGINNING」がハードでエッジの効いた楽曲であるからこそ、「Aぇ! LAND」が持つ柔らかさが、より心地よい印象を与えてくれる。初回限定盤Aにのみ収録されている「しあわせもん。」も魅力的だ。この楽曲は、人懐っこいメロディと美しいハーモニーが際立っており、煌びやかでありながらも優しいミディアムソングになっている。

また、初回限定盤Bにのみ収録されている「WANT!!」は、ホーンセクションが印象的なリズミカルな楽曲だ。ダンスと合わせて堪能すると、より魅力が増しそうな楽曲で、ライブでの進化も楽しみな楽曲だ。通常盤とUNIVERSAL MUSIC STORE限定盤に収録されている「+You」は、Aぇ! groupらしい温かさと包容力を体感できる楽曲だ。“歌”の濃度を凝縮したナンバーになっており、5人のボーカルが紡ぐアンサンブルも体感できる仕上がりになっている。さらに通常盤にはグループにとって初めてのドラマ主題歌である「純情パスファインダー」、UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤にはデビュー前からの人気曲である「Firebird」も音源化される。

このようにみていくと、『《A》BEGINNING』は魅力溢れるロックな一面もあり、ダンスグループだからこその一面もあり、ボーカルをしっかりみせてくれるフェーズもあれば、ラップや5人のハーモニーも堪能できるポイントもある印象。そういう意味でも、Aぇ! groupがここから音楽シーンをサバイブしていく闘志を感じさせてくれる作品になっている。

Aぇ! groupのファンであれば、CDデビューまでの道のりが平坦ではなかったこと、その中でも諦めずにここまでやってきたことはきっと共有されているはずだ。そして、Aぇ! groupはそういうこれまでの物語も大切にしていくこと、その上で、ここからさらなる可能性と飛躍を約束することを、『《A》BEGINNING』で示しているように感じてならない。さまざまなドラマを経験しながら、関西ジュニアを牽引してきたAぇ! groupだからこそ描くことができる世界。今はそれを楽しみにしながら、ここからが示す未来を見届けていきたいと感じる。

(文=ロッキン・ライフの中の人)

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